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遺産相続手続きは相続人への負担が重い。専門家に任せるメリットは?

2022.09.02 遺産相続 遺産相続手続きは相続人への負担が重い。専門家に任せるメリットは?

この記事を監修したのは、

鈴木 健太

所属 司法書士法人みどり法務事務所 札幌司法書士会 会員番号 第823号 認定番号 第843020号 資格 司法書士

「遺産相続の手続きは何から始めればいい?」「仕事が忙しくて手続きを調べるのが億劫」
遺産相続の手続きがいろいろあることはわかっていても、何から始めればいいかわからない方もいらっしゃるでしょう。また、仕事が忙しいと、ついつい手続きを後回しにしてしまいがちです。しかし、遺産相続の手続きには期限があるので、期限に遅れないようにきちんと行うべきです。

この記事では、遺産相続の手続き内容と期限、専門家に依頼したほうが良いケースについてご説明します。

遺産相続の手続き内容と期限

まず、遺産相続の手続き内容と期限についてご説明します。

死亡届の提出

被相続人が亡くなってから7日以内に、被相続人の死亡地や本籍地の市区町村役場または届出人の住所地の市区町村役場に死亡届の提出が必要です。死亡届を提出する際には、病院に死亡診断書を書いてもらう必要がありますが、死亡届と死亡診断書は一枚の用紙になっています。被相続人が亡くなってからお通夜・告別式と忙しいですが、提出期限に遅れないようにしましょう。

遺言書を探す

葬儀が落ち着いたら、被相続人が残した遺言書を探します。遺産相続をする際には法定相続分を目安に分割しますが、遺言書が残されている場合は、遺言書の内容が優先されます。遺言書がないものとして遺産分割協議を行った後に遺言書が発見されたら、遺産分割協議の意味がなくなってしまいますので入念に探すようにしましょう。

遺言書には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。自筆証書遺言か秘密証書遺言が見つかったら家庭裁判所で「検認」してもらう必要があります。検認するまでは、遺言書の封を開けてはいけません。なお、公正証書遺言は作成時に公証人役場にて認証してもらっているので検認の必要はありません。また、公正証書遺言は作成されているかどうか、公証役場にて検索することも可能なので、もし遺言書を遺したことは聞いていたのに、自宅に遺言書がない場合などは問合わせてみた方がいいでしょう。

相続人を確定する

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて、相続人を確認します。親族が把握していない相続人がいる可能性があるからです。

例えば、被相続人が再婚で、前の配偶者との間に子供がいればその子供も法定相続人となります。相続人の存在を知らずに遺産分割協議を進めてしまい、後から相続人がいることがわかれば遺産分割協議はやり直しになるので注意しましょう。

相続財産を調査する

相続を分けるために、被相続人の財産を調査します。財産は現金・預貯金・不動産などのプラスの財産だけではなく、負債などのマイナスの財産も確認が必要です。

遺産分割協議を行う

遺言書が残されていない場合には遺産分割協議を行い、どの相続人がどの財産を相続するかを決めます。基本的には法定相続割合で相続内容を決めますが、「被相続人と同居して長年介護をしていたから多めにもらう」「生前贈与をしてもらったから少なめにもらう」などの調整が行われることが多いです。なお、兄弟姉妹以外の法定相続人には法律で守られた遺留分が発生します。遺留分は各法定相続人に与えられた権利なので、各法定相続人の遺留分も考慮した上で相続内容を決めた方がいいでしょう。

単純承認・相続放棄・限定承認の選択

遺産相続は、単純承認・相続放棄・限定承認の3種類があります。

まず、単純承認は、被相続人の財産をすべて相続するケースです。

相続放棄は、被相続人の財産を一切相続しないケースです。マイナスの財産がプラスの財産を上回ることが確実な場合に利用されます。

限定承認は、相続によって得たプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産も相続するというケースです。

例えば、相続財産全体でプラスの財産かマイナスの財産のどちらが多いかわからないケースや、自宅など、相続財産中にこれだけは取得したいという財産がある場合などで利用されます。なお、相続放棄と限定承認をする場合の期限は、被相続人の相続人だと知った時から3か月以内です。限定承認をする際には、相続人全員の同意が必要なので早めに話し合う必要があります。

被相続人の所得税の申告・納付(準確定申告)

被相続人の1月1日から死亡日までの準確定申告が必要な場合もあります。準確定申告の期限は、相続があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

相続税の申請・納付を行う

相続財産が多く、相続税の支払いが必要になる場合には相続税の申請・納付が必要です。相続税の申請・納付の期限は、被相続人が亡くなったのを知った日の翌日から10カ月以内です。期限に遅れると延滞税の支払いが必要になりますので注意してください。

相続財産の名義変更手続き

引き継ぐ相続財産が決まったら、銀行預金や不動産などの名義変更手続きを行います。名義変更手続きは、相続方法によって必要書類が異なるので、各金融機関などに確認しましょう。

相続登記を行う

不動産を引き継ぐ場合は、相続登記をします。現在の法律では相続登記は必須ではありませんが、2024年4月1日より相続登記は義務化されます。施行前の相続についても対象になりますので、早めに手続きをしたほうが良いといえます。なお、相続した不動産を売却したい場合、一旦相続人の名前で相続登記をしなければ売却はできません。

遺産分割協議書とは

ここでは、遺産分割協議をする際に必要になる遺産分割協議書についてご説明します。

遺産分割をした後に作成する書類

遺産分割協議を行ったら、法定相続人全員が相続内容に同意したことを証明する「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議書に記載する内容は下記の通りです。

  • 被相続人の名前と死亡日
  • 相続人が遺産分割内容に合意していること
  • 相続財産の内容 (銀行預金の場合は銀行名・支店名・口座番号など)
  • 相続人全員の名前・住所と実印の押印

財産の名義変更で必要

遺産分割協議で相続内容を決定する場合、遺産分割協議書がないと被相続人の銀行預金を引き出すことができません。また、不動産登記をする際も同様です。

遺産相続手続きが大変な理由

ここでは、遺産相続手続きが大変な理由についてご説明します。

遠方に住んでいる相続人が集まりにくい

遺産分割協議は、法定相続人全員で話し合い同意を得る必要があります。しかし、相続人同士が遠方に住んでいる場合は物理的に集まりにくいので、手続きが遅れます。

それぞれの主張で話がまとまらない

遺産分割協議は、それぞれの主張を言い出すと話がまとまらなくなります。お互いに意見を譲らないと、相続争いに発展するでしょう。

役所や銀行は平日にしか利用できない

相続内容がまとまっても、相続に関する手続きが大変というケースもあります。相続手続きを行う役所や銀行は、平日にしか利用できないからです。平日は仕事の会社員が相続人の場合、仕事を休んで対応しなければいけないので労力がかかります。特に、取引先銀行が多い場合、1件1件で手続きをしなければいけません。

専門家に遺産相続手続きを依頼するメリット

ここでは、相続手続きを専門家に依頼するメリットについてご説明します。

面倒な手続きを一任できる

相続手続きを専門家に依頼すると、面倒な手続きを一任できます。

例えば、相続手続きでは被相続人の戸籍や相続人の戸籍謄本などを集める必要がありますが、相続の内容によって必要になる書類や枚数が異なります。不慣れな相続人が集めるより、専門家に任せたほうが確実に収集できるでしょう。

また、取引先金融機関が多いと、それぞれの金融機関で名義変更の手続きが必要になりますが、専門家に任せれば代理で手続きを行ってくれます。専門家に任せると相続人の負担を一気に減らすことが可能です。

スケジュール管理をしてもらえる

上述の通り、相続手続きには期限があります。専門家に手続きを任せるとスケジュール管理をしてもらえるのもメリットといえるでしょう。

例えば、遺産分割協議が長引いて相続税の納付に遅れると延滞税が必要になります。専門家に管理を任せればこのような事態を避けられるでしょう。

特に専門家に遺産相続手続きをお願いしたほうがいいケース

特に遺産分割の手続きを専門家に依頼すべきケースについてご紹介します。

相続人が多い

相続人の数が多い場合、専門家に任せたほうが安心です。相続人が多いと、収集すべき書類が増えます。また、書類を作る際も、誤りがあれば作り直しとなってしまいますので、なるべくミスなく書類作成できるように専門家に確認してもらったほうが良いでしょう。

相続人が忙しい

相続人が忙しく、手続き内容を調べたり行ったりする時間がない場合にも、専門家を頼ったほうが良いでしょう。専門家に依頼すれば、銀行の名義変更や不動産の登記手続きも代理でしてくれます。

例えば、相続人一人に負担が集中すれば親族間の仲が悪くなってしまう可能性もあるので、このようなケースでは費用が発生しても専門家に頼ったほうが良いでしょう。

相続人間で相続分に関する争いが起こりそう

相続人間で争いが起こりそうなケースも、専門家に依頼したほうが良いでしょう。専門家が中に入って話をまとめるということは難しいですが、過去の事例などを紹介してくれたり、アドバイスしてもらえたりする可能性があります。親族間だけの話し合いでは平行線で相続税支払いの納期に遅れてしまう恐れもあるので、そんな時は経験豊富な第三者の意見を聞いてみましょう。

被相続人が再婚している

被相続人が再婚している場合も、専門家に相談したほうが良いでしょう。前の配偶者との間に子供がいる場合、その子供も法定相続人になります。このようなケースは相続財産の割合をめぐりトラブルに発展する可能性が高いので、専門家に頼ったほうが安心です。

まとめ

遺産相続の手続きには期限があるので、スケジュール管理をしっかり行う必要があります。しかし、法定相続人全員での話し合いが必要な遺産分割協議は、相続人同士の意見が合わずに難航する可能性があるでしょう。また、話し合いはまとまっても実際の手続きに時間を割くのが難しいケースもあります。

このようなケースでは、専門家に任せてしまったほうが安心です。専門家に任せれば、書類の作成や遺産相続にかかる手続きを代行してくれます。仕事が忙しい方や手続きに自信がない方は、ぜひ専門家を頼ってください。

この記事を監修したのは、

鈴木 健太

所属 司法書士法人みどり法務事務所 札幌司法書士会 会員番号 第823号 認定番号 第843020号 資格 司法書士

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