相続登記をしないデメリットはある?義務化したらどうなるの?
2024.04.01 相続登記(名義変更)「相続した不動産は登記が必要?」
「相続登記をしないデメリットはある?」
「相続登記は義務化するの?」
不動産を保有したら登記が必要ですが、相続で引き継いだ不動産にも登記は必要なのでしょうか?
この記事では、相続では登記が必要なのか、相続登記をしないデメリット、相続登記の義務化について説明します。
目次
相続登記はすべき?
現在の法律では、相続登記をするのは相続人の任意となっており、しないことによる罰則も発生しません。そのため、被相続人が亡くなり空き家になる実家不動産などは、相続登記をしないケースが多いです。その場合、相続人が法定相続割合で所有していることになります。
しかし、相続登記をしないデメリットは多いので、相続登記は相続発生後すぐにした方がいいといえます。
相続登記をしないデメリット
ここでは、相続登記をしないことによるデメリットについて説明します。
利害関係者が増えていく
相続登記をしない不動産は、法定相続人が共有という形で所有していることになります。そのため、次の相続が発生したら所有者の数がどんどん増えていくのです。
例えば、不動産を被相続人の子供である相続人A・相続人B・相続人Cの3人で分けたと仮定します。その後、相続人Aが亡くなれば相続人Aの相続人に引き継ぐことになります。そして、相続人Aの相続分が配偶者Dと子供Eと子供Fに渡れば、不動産の所有者が増えて所有関係が複雑化します。
これが、相続人Bと相続人Cにも起これば、当該不動産が誰の持ち物なのか、はっきりしなくなるでしょう。
手続きが複雑になる
上述のように、利害関係者が増えた状態で相続登記の手続きをしようとすると、相続登記をすることの了承を得たり、書類を集めたりするのに手間や時間がかかります。特に、遠方に住むなどして親族間で交流がほとんど無くなっている場合には、難しくなるでしょう。
売却しにくくなる
相続した不動産を売却する場合には、一旦は相続人名義で登記が必要になります。しかし、相続登記をせずに時間が経ってしまうと、いざ相続登記をしようとしたときに他の相続人からの了承を得られずに売却しにくくなる可能性があります。
例えば、相続人A・相続人B・相続人Cで共有していた場合、相続人Cが不動産の売却に反対すれば不動産を売却できません。
このように、共有にすると不動産売却などの意思決定がしにくくなります。共有は避け、相続発生後すぐに誰が引き継ぐのかを決めて相続登記をするのがおすすめです。
担保にできない
金融機関の借入は、不動産担保などを差し入れすると金利が安くなったり、良い条件で借りられたりといったメリットがあります。しかし、登記をしていない不動産は融資の担保にすることができません。将来的に融資を利用する可能性がある場合、相続登記は済ましておきましょう。
納税漏れのリスクがある
不動産を保有する場合、毎年固定資産税の支払いが必要になります。相続登記をせずに空き家の実家を相続人間で共有する場合、相続人が固定資産税を負担します。しかし、このような状態だと納税を忘れたり、一部の相続人から税金分を回収できなくなったりする恐れがあるでしょう。固定資産税を延滞すると、延滞税の支払いが必要になります。納税漏れのリスクを避けるためにも、誰も使用しない不動産は早めに処分してしまった方がいいです。
相続人の間でトラブルが発生する可能性がある
相続登記を行わずに共有の状態にしていると、トラブルに発展しやすいです。
例えば、相続人A・相続人B・相続人Cで相続不動産を共有しているとしましょう。相続人Cが借金をして、返済できなくなった場合、相続人Cの持ち分(相続した不動産の一部)が差し押さえられる可能性があります。その結果、全く関係のない第3者が相続人Cの所有分を引き継ぐことになり、不動産の売却をしたくても難しい状況になるでしょう。
相続登記をしないメリット
相続登記をしないメリットは、登録免許税や司法書士へ支払う費用がかからないことです。
相続登記をする場合、登録免許税の支払いが必要です。
登録免許税は、【固定資産税評価額×0.4%】で計算します。
例えば、固定資産税評価額6,000万円の不動産を相続登記する場合、24万かかります。
また、相続登記は相続人自身で手続きもできますが、司法書士などの専門家に任せた方が間違いなくスムーズに手続きできます。司法書士に支払う報酬は相続内容にもよりますが、6〜10万円程度です。
さらに、相続登記に必要な謄本などの書類を集めるのにも数千円〜数万円かかります。相続財産が不動産しか残されていない場合、相続人の財産からこれらの費用を捻出する必要があるので、費用の支払いが厳しい方にとっては先延ばししたい問題になるでしょう。
相続登記は2024年に義務化する
相続登記を義務化する法案が2021年4月21日の国会で成立し、2024年4月1日から施行されます。その背景として、日本全国に所有者不明の不動産が増え続けていることが挙げられます。所有者不明の不動産は勝手に取り壊すことができず、税収もできません。そのため、土地の有効化と税収を増やすことを目的として、法改正が行われました。
義務化されたら、相続人は不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなくてはいけません。万が一、正当な理由なく相続登記を怠れば、10万円以下の過料が科せられます。
また、法改正以前に発生した相続も対象です。義務化間際は手続きが混み合う可能性もあるので、相続登記していない不動産を保有している場合は1日も早く手続きしましょう。
相続登記を専門家に依頼すべき理由
相続登記は、相続人が自分で行うこともできますが、登記に必要な書類を正しく集めたり、申請書類を作成したりと手間がかかります。そのため、相続登記の知識に自信がなく自分で手続きをこなすのが不安だと感じる場合には、司法書士などの専門家に依頼するのがおすすめです。司法書士は不動産登記のプロフェッショナルで、書類の収集や作成、法務局への申請など丸ごと代行できます。
特に、「相続税の支払い期日までに相続登記を終えたい」など急ぎで手続きを進めたい方や相続財産が複数あるまたは複雑という方は専門家に任せましょう。
まとめ
相続登記をしないと、相続人同士で共有している状態とみなされます。相続登記をしないデメリットは下記のとおりです。
- 利害関係者が増えていく
- 手続きが複雑になる
- 売却しにくくなる
- 担保にできない
- 納税漏れのリスクがある
- 相続人間でトラブルが発生する可能性がある
特に、空き家になる実家を相続登記せずに共有するケースがあると思いますが、共有になると売却しにくくなったり、固定資産税の支払いがスムーズにできなくなったりします。また、次の相続が発生すると利害関係者が増えて手続きがしにくくなるでしょう。
このようなリスクを避けるためにも、共有という形は避け、相続発生時に誰が相続をするかきちんと決めるのがおすすめです。
相続登記は相続人が自分で手続きすることもできますが、手続き方法が不安ならば専門家である司法書士に依頼するのが安心です。相続登記のご相談は、みどり法務事務所へお気軽にご連絡ください。
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