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相続登記では法定相続情報一覧図が必要?取得するメリット・デメリットは?

2022.12.22 相続登記(名義変更) 相続登記では法定相続情報一覧図が必要?取得するメリット・デメリットは?

この記事を監修したのは、

代表 池村 英士

所属 司法書士法人みどり法務事務所 東京司法書士会 会員番号 第9216号 認定番号 第1001075号 資格 司法書士

法定相続情報一覧図とは?

ここでは、法定相続情報一覧図とは何の書類なのかについて説明します。

法定相続情報証明制度により認められた書類

法定相続情報一覧図というのは、平成29年5月29日より、法定相続情報証明制度で認められた被相続人の相続関係を1枚にまとめた書類のことです。今までの相続では、被相続人の戸籍関係の書類を相続手続きのたびに提出する必要がありました。しかし、戸籍関係の書類は戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍及び住民票など、大量の束になってしまいます。これらの書類を手続きのたびに各機関に持ち込むのは、相続人にとっても、処理を行う機関としても負担がかかります。そこで双方の負担を軽減するために、活躍するのが法定相続情報一覧図です。

法務局の承認が必要な書類

法定相続情報一覧図は、被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類を基に相続人や相続人の代理人となる専門家が作成します。法定相続情報一覧図を作成したら、法務局で承認してもらい、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しが交付される流れです。原本は法務局に保管され、各機関では写しを使用して手続きをします。

法定相続情報一覧図(写し)を利用できるシーン

法定相続情報一覧図の写しは、不動産相続登記の手続き、相続税の申告時、銀行や有価証券の名義変更手続きなどで利用できます。

例えば、被相続人が不動産を保有していた場合、不動産の相続登記が必要です。不動産を引き継いで利用する場合だけではなく、売却する場合にも一旦は相続人の名前で相続登記をしなくてはいけません。従来は不動産の登記手続きで戸籍謄本の束が必要でしたが、法定相続情報一覧図の写しを用意している場合には、法定相続情報一覧図の写し1枚の提出だけで手続きが完結するようになりました。

しかし、法定相続情報一覧図の写しの取得は全ての人が行う必要はありません。法定相続情報一覧図を書類として使用するには、作成してから法務局で承認してもらう必要があります。そのため作成手続きに対応する時間が無ければ、無理に作成する必要はありません。「相続財産が多く、各機関での手続きが必要なので作成したほうがよさそう」と思った場合に作成しましょう。

法定相続情報一覧図の写しを取得するメリットは?

法定相続情報一覧図の写しを取得するメリットは、各機関での相続手続きの負担を軽減できることです。

例えば、銀行口座を複数所有している場合です。一般的な相続の手続きでは、名義変更の手続きのために戸籍謄本の束をそれぞれの銀行に持ち込み、手続き終了後に返却してもらって、次の銀行で手続きをする必要がありました。金融機関によっては、戸籍謄本の原本を回収されてしまう場合もあるため、改めて戸籍謄本を取り直す必要もでてきます。

一方で、法定相続情報一覧図の写しを作成していると、必要に応じて無料で複数取得することが可能です。そのため、複数の金融機関の名義変更を同時進行したい場合も、戸籍謄本の返却を待たずに手続きを進められるようになり、その点がメリットといえるでしょう。

法定相続情報一覧図の写しを取得するデメリットや注意点は?

冒頭で説明した通り、法定相続情報一覧図の写しを利用するためには、法定相続情報一覧図を自分で作成して、又は専門家に依頼して法務局に承認してもらう必要があります。今までの手続きでは必要のなかった工程なので、面倒に感じるかもしれません。

また、相続財産が少ない場合には、利用するシーンも少ないです。そのため、せっかく作成しても、必要なかったと感じることもあるでしょう。

最近では、ほとんどの機関で法定相続情報一覧図の写しを利用できるようになっていますが、稀に利用できない期間もあるようです。その点はデメリットになるでしょう。手続きが必要な機関で利用ができるかは確認が必要です。

法定相続情報一覧図の写しを取得する方法

ここでは、法定相続情報一覧図の写しを取得する方法について説明します。

法定相続情報一覧図の写しを取得する流れ

法定相続情報一覧図の写しを取得するためには、まず法定相続情報一覧図を作成する必要があります。作成にあたり、まず被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本、相続人の戸籍謄本などを収集します。これらの書類を基に法定相続情報一覧図を作成して、戸籍書類などと一緒に法務局へ持ち込みましょう。その後、法務局に内容を確認してもらい、認証文付きの法定相続情報一覧図の写しが交付されたら、各機関で戸籍謄本などに代わり利用できるようになる流れです。

法定相続情報一覧図の写しは,偽造防止のために専用紙で作成されます。法定相続情報一覧図を作成する時には、A4の紙で作成し、写しにしっかり印字されるようにする必要があります。なお、申し出の際に提出した戸籍謄本などの書類は返却されます。

法定相続情報一覧図に記載する内容

法定相続情報一覧図には


  • 被相続人の氏名
  • 最後の住所
  • 最後の本籍(任意)
  • 出生年月日
  • 死亡年月日

を記載します。相続人に関しては、氏名・出生年月日・被相続人から見た続柄の記載が必要で、住所は任意です。住所を記載する場合には添付資料としてその相続人の住民票の写しも添えます。被相続人と相続人を線で結び、関係が分かるようにしておきます。最後に、作成日・作成者を記載し、押印が必要です。



出典:法務局「~法定相続情報証明制度について~



詳しくは、法務局のホームページをご確認ください。

法定相続情報一覧図の写しを取得する手数料

法定相続情報一覧図の写しを取得する手数料は無料です。なおかつ、法定相続情報一覧図の保管期間中の5年間(申出日の翌年から起算)であれば、無料で何回でも交付してもらえます。

法定相続情報一覧図の写しを取得できる人

法定相続情報一覧図を取得できる人は、被相続人の相続人です。ただし、民法上の親族や資格者代理人(弁護士、司法書士など)も取得できます。

法定相続情報一覧図の写しを取得するまでの期間

法定相続情報一覧図の写しを取得するまでの期間は、一般的には申し出から一週間程度です。しかし、各法務局により異なり、早い場合には申し出の翌日に取得できるケースもあるようです。時間に余裕を持って作成しましょう。

まとめ

法定相続情報一覧図の写しを取得することで、不動産の相続登記や預金の名義変更などの相続にかかる手続きをスムーズに進めることができます。また、戸籍謄本などの書類を提出する場合には返却を待つ必要がありますが、法定相続情報一覧図の写しは無料で何枚でも発行してもらえるので、同時に手続きを進めることも可能です。

法定相続情報一覧図の写しを取得するためには、まず戸籍謄本などを取り寄せて法定相続情報一覧図の作成が必要になります。相続人が作成することもできますが、間違いなく作成するためには、相続の知識豊富な司法書士に依頼するのも一つです。法定相続情報一覧図の写しの作成だけではなく、不動産の相続登記も対応できますので、お困りの方はみどり法務事務所へぜひご相談ください。

この記事を監修したのは、

代表 池村 英士

所属 司法書士法人みどり法務事務所 東京司法書士会 会員番号 第9216号 認定番号 第1001075号 資格 司法書士

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