遺産相続手続きの代行は誰に頼む?選び方のポイントや費用の相場を紹介
2024.04.01 遺産相続目次
1.相続開始後の手続きの流れと期限
遺産を所有する方が亡くなり相続が発生すると、行わなければならない手続きは多くあります。いざというべき時に慌てず手続きを進められるように、手順・期限を確認しましょう。
なお、ここで言う相続開始後の手続きとは遺産に関連するものに限り、死亡届や葬儀に関する手続きには触れません。
相続手続きの流れ
1.遺言書を探す(遺言書がない場合は3へ)
↓
2.家庭裁判所で遺言書の検認を受ける ※遺言書が公正証書遺言、または法務局において保管されている自筆証書遺言の場合、検認は不要です
↓
3.相続人・相続財産の調査・確定
↓
4.準確定申告(被相続人の確定申告)
↓
5.遺産分割協議
↓
6.遺産分割協議書の作成
↓
7.相続財産の名義変更
↓
8.相続税の申告・納税
相続手続きの期限
手続き | 期限 | 備考 |
相続放棄・相続の限定承認 | 3カ月以内 | 家庭裁判所に申し立てることにより期限の伸長が可能 |
準確定申告※ | 4カ月以内 |
|
相続税の申告 | 10カ月以内 | 相続税申告の期限の都合上、遺産分割協議も10カ月以内に行うことが望ましい |
不動産の名義変更 | 3年以内 | 3年の期限は令和6(2024)年4月1日以降 |
※確定申告は毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。しかし、年の中途で死亡した人の場合は、相続人(包括受遺者を含む。以下「相続人等」といいます。)が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
2.相続手続きの代行を専門家に頼むほうが良いケースとは
続手続きの代行を専門家に依頼した方が良い主なケース
1.仕事などで時間が取れない
2.相続税の計算や裁判所への手続き等、専門的な知識が必要
3.相続関係が複雑
相続手続きの代行を専門家に依頼すべき理由
①仕事などで時間が取れない
相続手続きでは、上記の通り多くの手続きが必要で、中には申請に期限が設けられているものもあります。また、これらの手続きの準備として戸籍や住民票等、役所から書類を取り寄せる必要があります。
そのため、平日に時間を取るのが難しい会社勤めの方は、手続きをスムーズに進めることが難しい場合もあります。
専門家であれば、書類の収集から手続きの申請まで代行可能なため、手続きの依頼さえ済めば完了までお待ちいただくだけです。
②相続税の計算や裁判所への手続き等、専門的な知識が必要
相続手続きの多くは、税金の計算や必要書類の確認、申請書の作成等、専門知識が必要です。多くの方にとって、相続手続きは初めての経験となるため、滞りなく進めるためには、様々な事案を依頼として受けている専門家に依頼するのが良いでしょう。
③相続関係が複雑
相続人の数が多い、相続財産の額・種類が多い場合、相続分の計算は複雑になっていきます。生前贈与や被相続人の介護などがあった場合、特別受益・寄与分を考慮したうえで相続分の計算が必要になることもあります。
相続人間の紛争を避けるためにも、相続関係が複雑な場合は、早い段階で専門家に相談・依頼した方が良いでしょう。
3.相続手続きの主な依頼先と費用の目安
相続手続きを専門家に依頼すると言っても、紛争を含むものは弁護士、不動産登記であれば司法書士、税関係は税理士等、複数の依頼先があります。また、銀行には、相続に関してサポートをしてくれる相続アドバイザーという資格者が存在します。
専門家・資格者ごとに得意とする分野が異なるため、どのような手続きを依頼すべきか確認していきましょう。
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | ||
遺言書の作成 | 15万円~ | 10万円前後 | 10万円前後 | 15~20万円 | |
相続人・相続財産の調査 | 20~30万円 | 10~30万円 | 10~30万円 | 20~30万円 | |
相続放棄 | 5~10万円 | 3~5万円 | × | × | |
相続に関する紛争 | 事案により大きく変動 | × | × | × | |
遺産分割協議書の作成 | 20~30万円 | 3~5万円 | 3~5万円 | 20~30万円 | |
不動産の名義変更 | 6~10万円 | 6~10万円 | × | × | |
準確定申告 | × | × | × | 3~5万円 | |
相続税の申告 | × | × | × | 20万円~ |
弁護士
弁護士は、相続に関するものを含めたあらゆる法律業務を取り扱えます。
特に、紛争性を含む相続手続きに関しては法律上弁護士にしか扱えないため、相続人間で遺産分割協議が調わない、遺言の内容に納得がいかない等の争いがみられるケースでは必ず弁護士に依頼をしましょう。
なお、弁護士は各々が専門分野を持ち、それに応じた依頼を受けるのが基本ですので、あらゆる法律上業務を行えると言っても、相続登記や相続税の申告については対応していない場合がありますので、事前に対応可能な範囲を確認することが大事です。
司法書士
司法書士は、登記業務を中心に扱う法律職です。また、弁護士とは異なり紛争性を含む案件を受けることはできませんが、それ以外の相続手続きに関しては基本的に対応が可能です。
そのため、相続登記が必要な場合は司法書士に相談すると良いでしょう。
行政書士
行政書士は、役所に提出する書類の作成や自動車の名義変更を主に扱う法律職です。相続の内容は決まっており、書類各種の作成の代行・助言が必要であれば行政書士に相談が可能です。
税理士
税理士は、税務の専門家です。準確定申告・相続税の申告など、税金に関する手続きが必要な場合は税理士に相談しましょう。
なお、相続税は相続財産の額が基礎控除額以下であれば納付の必要がないため、税理士に相談する際は相続財産・相続人の状況をある程度でも把握しておくと良いでしょう。
銀行
銀行でも相続に関するサービスを提供しています。銀行は各所に支店があり、普段から利用しているため相談をしやすいと言えます。
ただ、相続登記や相続税の進行等の各種手続きを銀行自身が代行するわけではなく、提携の司法書士や税理士に外注するため、最終的に支払う費用は高めになる場合があります。
4.相続手続きを誰に頼むか迷ったら?選び方のポイント
前述の通り、相続手続きの依頼先は複数ありますが、依頼先を迷った場合はどの様に決めるべきでしょうか。
①相続手続きを得意としているか
専門家は各々の得意分野を持ち、それに応じた業務を扱うため、中には相続手続きの対応に慣れていない専門家もいます。相続手続きは期限が短いため、スムーズに進めるためには普段から相続手続きを扱っている専門家に頼む必要があります。
そのため、依頼を検討している事務所のHPで得意分野・業務実績が公開されているか確認し、相続手続きを得意としていることを確認しましょう。
②料金体系が明確になっているか
相続手続きは相続財産や相続人の数に応じて費用が変わることが多いため、あらかじめ確認しておかないと、手続き終了後に想像以上の高額な費用を請求されることもあり得ます。
こうした不測のトラブルを防ぐためにも、事務所のHPで各種手続きごとの費用を明示している、または手続き開始前に見積書を出してくれる事務所に依頼すべきです。
③相続人間で争いがあるか
相続人間で争いがある案件は弁護士にしか扱えないため、相続開始当初から相続人間の争いが顕在化しているのであれば、依頼先は弁護士の中から検討する必要があります。
5.まとめ
相続手続きと一口に言っても、必要な手続きは複数あり、中には期限が設けられているものもありますが、相続開始後という多忙かつ精神的に不安定になりやすい時期に、専門的な知識が必要な相続手続きをスムーズに進めていくのは困難です。
そのため、相続手続きは代行を専門家に依頼するのがベストです。相続手続きを行えるか不安・今後の見通しを立てたいといった方はまずはご相談ください。
関連記事
人気記事
新着記事