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登記ってなに?相続のときに必要?

2022.10.24 相続登記(名義変更) 登記ってなに?相続のときに必要?

この記事を監修したのは、

辻本 歩

所属 司法書士法人みどり法務事務所 愛媛県司法書士会 会員番号 第655号 認定番号 第1212048号 資格 司法書士

誰かが亡くなった場合、遺族や相続人には様々な手続きが課せられます。そういった手続きの中で後回しにされがちなものが「相続登記」です。

実際のところ、相続の際に相続登記まで手が回らない人も多く、登記を怠る人も多いようです。

この記事では、登記とはどのようなもので、相続とどのような関係があるのかを解説していきます。なお、この記事は2022年10月に書かれたものです。予めご了承ください。

登記とは

「登記」とは、重要な権利や義務について、誰でも確認できる形式で公に登録する制度です。権利や義務を保護しつつ、様々な取引を円滑に進めるために作られた経緯があります。

不動産を購入したいと思ったとき、その不動産の所有者は誰なのか、不動産を共有している人はいるのか、不動産に付随する他の権利はあるのか(抵当権等が設定されているのか)などがわからなければ、安心して取引ができません。

そういった場合は、対象の不動産の「不動産登記簿謄本」を見ることで、不動産に関する様々な情報を知ることができるので、安心して取引することができます。特に不動産の場合、登記は非常に大切なものです。

例えば、不動産の売買が行われる際に、売主が「買主A」に不動産を売却した後で、新しく現れて好条件を提示した「買主B」にも同じ不動産を売却してしまうことがあります。

こういった場合、売買契約の先後ではなく「その不動産の所有権移転登記を先に行った方」が所有権を主張できます。

そのため買主Aが登記を怠っており、先に買主Bが登記を済ませた場合、Aはせっかく買ったはずの不動産の所有権を買主Bに対して主張できなくなってしまいます。

裏を返せば、早く登記をすることで、その不動産が自分のものであると自信を持って主張できるのです。

相続登記とは

不動産の所有者が亡くなって、亡くなった人が所有していた不動産を誰かが相続するとします。

不動産を相続するということは、その不動産の所有権者が亡くなった人から相続した人に変わるということです。所有権者が変わることを「所有権が移転する」と言います。

そして、所有権者が変わったことを登記することを「不動産所有権移転登記」と言います。つまり不動産を相続したら、不動産所有権移転登記をする必要があるのです。

実はこれが典型的な「相続登記」です。相続登記とは多くの場合、「相続に伴う不動産所有権移転登記」のことを指します。

不動産登記とは

「不動産登記」とは、どのようなものなのでしょうか。

不動産登記簿謄本には、土地の所在・地番(=土地の住所)、地目(宅地など土地の種類)、面積や建物の所在・家屋番号(=建物の住所)、種類、構造、面積等が記されています。それとともに、不動産の現在の所有権者や、過去の不動産の所有権者の履歴、土地が分割(分筆)されたり周りの土地と統合(合筆)されたりした歴史、さらには不動産に設定された担保権(抵当権等)まで記載されています。

この不動産登記簿謄本は、不動産の履歴書、歴史書と言っても過言ではありません。人間の履歴書でも、最新の情報と記載内容に齟齬があってはいけません。その人を評価するための正しい情報が記載されていないからです。

不動産登記も同じです。もし不動産登記簿謄本が最新の状態になっていない場合、登記簿謄本に記録された持ち主が変わっているかもしれませんし、土地の上に建っていた建物がなくなっているかもしれません。

不動産登記簿謄本との齟齬を失くすために、相続があったときはもちろん、それ以外の場合でも、不動産について変更があったら必ず行うべきものが「不動産登記」なのです。

相続登記をしないとどうなる?

本記事執筆時点(2022年10月)において、相続登記は義務化されていません。

「相続の開始を知った時から◯ヶ月以内に相続登記をる必要がある」などの法律はないのです。そのため、登記を怠り続け、数世代も前の先祖の名前が未だに登記簿に記載されているケースもあるようです。

「特に不利益がないなら、相続登記なんて面倒なことをしなくても問題ないのでは?」

このように考える人もいるかもしれません。しかし相続登記をしないと様々な問題が発生します。どのような問題が起こり得るのか、具体的に見ていきましょう。

相続登記されていない不動産の問題

まずは「相続登記をしていない不動産は売買できない」という問題です。

不動産の相続登記をしていないということは、その不動産は故人の名義のままということです。他人名義の不動産を売ることは実質できません。

売却前に不動産の相続登記をして名義の変更を行う必要がありますが、登記に時間をかけている間に、購入希望者が別の不動産を見つけるなどして気が変わり、売り時を逃す可能性があります。

また「不動産を担保にお金を借りたい」という場合も同様です。売却にせよ担保権の設定にせよ、不動産が故人名義のままでは売却取引を進めることができません。

「売ったり担保権を設定したりするときに相続登記をすればいい」と思うかもしれませんが、それは間違いです。

いざ相続登記をしたいときに、一部の相続人と連絡がつかないケースが考えられますし、時間が経つと相続人が認知症などになって判断能力に問題が発生してしまうこともあります。また、不動産の相続後に相続人の誰かが死亡して別の相続が発生した場合、相続人の数が変わってしまいます。

そうなると、誰が何を相続したのかも不明瞭になりかねず「不動産の売却に反対する!」「土地を分割(分筆)しろ!」などと言う相続人が出てくるかもしれません。

相続開始後はできるだけ速やかに相続登記を行った方が、複雑な問題を回避できます。また、国策という大きな視点から考えた場合でも、相続登記をしていない土地があることは問題です。

例えば、公共事業や開発で土地を利用したい、買い上げたいと行政が考えても、未登記の土地が多いと現在の所有者がわからないため、所有者を特定する作業にコストと時間がかかってしまいます。

土地によっては長期間登記が行われておらず、相続人が何十人もいるケースでは1人1人と交渉して承諾を得なければなりません。

これらを防ぐためにも、相続登記は必要なものだと考えてください。

相続登記が義務化

上記のような種々の問題を解決するために、2024年4月1日から相続登記の義務化が開始されます。

具体的には「相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内」に相続登記をしなくてはなりません。

もし正当な理由なく登記を怠った場合、過料を支払うことになります。しかし、いざ相続登記をするにしても、一般人には何かとハードルが高いでしょう。「何を準備したらいいの?」「必要な書類はある?」などと戸惑う人がいてもおかしくありません。

そこで相続登記は、専門家に依頼するのが安心です。専門家であれば、迅速かつ確実に相続登記を行うことができます。過料を回避して大切な不動産をしっかりと守るためにも、相続登記は専門家に依頼することをおすすめします。

まとめ

登記は権利を主張するために必要な手続きです。その中の一つである相続登記は、2022年10月時点で申請義務は無いものの、2024年4月1日から義務化されます。

「相続登記をしたい気持ちはあるけど時間が無い」「難しくて自分では手続きができない」と考えている方は、司法書士法人みどり法務事務所にご相談ください。当事務所では皆様になるべくストレス無く相続を済ませていただくために、定額の相続登記代行サービス「スマそう-相続登記-」をはじめとする相続に関する各種サポートを行っています。まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事を監修したのは、

辻本 歩

所属 司法書士法人みどり法務事務所 愛媛県司法書士会 会員番号 第655号 認定番号 第1212048号 資格 司法書士

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