相続登記を司法書士に頼むときの費用相場はいくら?専門家に任せるメリットとは?
2023.02.20 相続登記(名義変更)目次
1.相続登記とは
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなってしまった場合、その不動産の所有権を相続によって取得した人に、不動産の名義を変更する手続きです。
不動産の権利関係は法務局の登記簿で管理されていますが、不動産の所有者が変わっても自動で名義が書き換えられるわけではないため、相続により不動産を取得した場合は相続登記の申請により名義を変更する必要があります。
相続登記の申請は、必ずしも司法書士等の専門家に依頼する必要はなく、自身で行うことも可能で、たとえ登記の事前知識がなくても法務局の窓口で相談・確認しながら進めることもできます。
しかし、法務局による登記手続き案内は、不動産を管轄する法務局に直接出向く必要があり、法務局によっては事前の予約が必要かつ手続き案内の利用は1度につき20分までといった制限が設けられている場合もあり、自身で相続登記を行うのはどうしても手間と時間がかかってしまいます。
以下、不動産を相続した際に、報酬を払ってでも相続登記を司法書士に依頼すべきか判断するために、メリット等を確認していきます。
2.相続登記でかかる主な費用と金額の目安
相続登記の申請には大きく分類して3つの費用が必要です。
①必要書類の取得費用
相続登記では、不動産を相続したことの証明として、戸籍謄本等の書類を添付書類として提出する必要があります。これらの書類は、1通当たりの手数料自体は大きくありませんが、相続関係によっては大量の戸籍が必要になり、また遠方から書類を取り寄せる場合は送料も加算される。
必要書類の取得だけでも、少なくとも5,000~1万円ほどはかかることになるでしょう。
書類名 | 1通当たりの手数料 | 備考 |
戸籍謄本 | 450円 |
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改製原戸籍 | 750円 |
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除籍謄本 | 750円 |
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戸籍の附票の写し | 300円 |
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住民票 | 300~400円 | 自治体により異なる |
印鑑証明書 | 200~400円 | 自治体により異なる |
固定資産税評価証明書 | 200~400円 | 自治体により異なる |
②登録免許税
登録免許税とは、登記を申請する際に発生する税金で、税額は次の式で求められます。
不動産の評価額 × 税率
そのため登録免許税を求めるには、まずは不動産の評価額を知る必要があり、これは「課税明細書」または「固定資産税評価証明書」に記載されています。
課税明細書は、固定資産税が記載された書類で、不動産の諸州者に対し役所から毎年4月ごろに送付される書類です。
固定資産材評価証明書は、固定資産税の課税対象となる資産についてその評価額を証明する書類で、取得するには役所に請求する必要があり、その際には1通300~400円程度の手数料がかかります。
なお、課税価格となる不動産の評価額は1000円未満切り捨てで、同時に複数の不動産を相続した場合は、不動産の評価額を合計した額から1000円を切り捨てます。
続いて「税率」ですが、相続を原因とする場合は「0.4%(1000分の4)」、遺贈を原因とする場合は[2.0%(1000分の20)]です。
登録免許税の計算例
評価額が2543万1234円の土地と評価額が1564万1003円の家を相続した
①不動産の評価額を合算
2543万1234円 +1564万1003円 = 4107万2237円
②不動産の評価額を合算した額から1000円未満を切り捨てる
4107万2000円 ← これが課税価格となる
③課税価格に税率をかける
4107万2000円 × 0.4% = 16万4288円
④税率をかけた額から100円未満を切り捨てる
16万4200円 ← これが最終的な登録免許税となる
③司法書士に払う報酬
司法書士に相続登記を依頼した場合は司法書士への報酬が必要です。
司法書士の報酬は各司法書士が自由に定めることになっており、相続登記の場合の相場は7~15万円です。
ただし、この相場はあくまで1件の「相続登記」の申請に対する報酬です。多くの司法書士事務所では、相続登記を行う物件の数、相続人の数、戸籍謄本等の必要書類の収集や遺産分割協議書の作成業務によって報酬は変わってきます。
司法書士に依頼する場合は、事前に見積書を出してもらえる事務所に依頼すると良いでしょう。
3.相続登記を司法書士に依頼するメリット
相続登記の申請を司法書士に依頼する場合、報酬はかかりますがその分のメリットがあります。
➀自分で手続きをせずに済んで手間と時間を省ける
相続登記の申請の準備として必要書類を収集する必要があります。その中でも戸籍謄本の収集は、相続人全員と被相続人の出生から死亡までのものを集める必要があり、戸籍を読み解くことに慣れていないと、すべて収集するのに手間と時間がかかります。
また、戸籍等の収集や相続登記の申請は平日に行う必要があるため、多くの人にとってはこれら作業のために時間を取ることは難しいでしょう。
司法書士に依頼すれば、必要書類の収集といった煩わしい作業も本人に代わって行うことができるため、手間と時間を大幅に削減することができます。
②ミスなくスムーズに登記手続きを終えられる
司法書士に依頼しなくても、法務局で相続登記に関するアドバイスを受けられますが、事前の審査や具体的な事案に沿ったアドバイスまでは受けられないため、時間をかけて準備をしても、相続登記を申請後に補正や追加の書類が必要になってしまうこともあります。
普段から登記を業務としている司法書士であれば、複雑な相続関係であってもミスなくスムーズに書類収集から相続登記の申請までを完了できます。
③相続に関するアドバイスが可能
親族間だけで遺産分割協議を進めると、相続に関する判例や事例を知らないために言い争い等のトラブルに発展しかねません。
司法書士であれば、法的知識や過去のノウハウから適切なアドバイスを行い、トラブルを未然に防ぐことができます。
4.相続登記を司法書士に依頼したほうが良いケース
相続のケースは人によって様々なので、相続登記を司法書士に依頼するかの判断基準をご紹介します。
①平日に役所に行く時間がない・法務局が遠くにある
戸籍や住民票の取得先である役所、相続登記の申請先である法務局は、基本的に平日の日中にしか対応していません。特に、法務局は、相続した不動産を管轄する法務局に申請するため、場合によっては遠方の法務局に出向く必要が出てきます。
そのため、平日の休みを自由に取得することが難しい方は、司法書士に依頼した方が良いでしょう。
②不動産を売却する予定があるなど登記を急ぐ
相続した不動産を売却する場合、不動産の名義を被相続人から買主に直接変更することはできず、まずは相続人の名義に変更しなければなりません。
そのため、相続不動産を売却する予定がある場合は、相続登記の不備により決済の日程が遅れるなどの想定外の事態を防止するために、司法書士に依頼してスムーズに相続登記を完了させましょう。
③不動産の権利関係が複雑
相続した不動産の権利関係が複雑な場合、慣れていない方には相続登記の申請は難しいです。
相続登記の申請は義務ではないため(※1)、相続した不動産の名義が、曾祖父母や祖父母代のままになっていることもあり得ます。この場合、不動産を相続したとしても一気に自身の名義に変更することはできません。
例えば、祖父→母→自分と不動産を相続した場合、相続登記も祖父から母、母から自分と2回必要となります。このような場合、相続人候補が膨大となり相続人調査に時間がかかり、また家督相続時代の戸籍を読み解くこともあるため、専門的な知識を持つ司法書士でないと対応は困難です。
※1令和6(2024)年4月1日以降は義務となります
④相続人の関係が疎遠
遺産分割協議は後のトラブルを防止するため、相続人同士の十分な話し合い・連携が必要ですが、相続人同士の関係が疎遠の場合、感情的なもつれなどにより争いに発展してしまうケースがあります。
当初から司法書士が専門的な第三者の立場で間に入り、遺産分割協議を進めれば、争いを未然に防げる可能性が高いです。
なお、既に相続人間の争いが顕在化している事案は、司法書士では扱えないため、弁護士に相談しましょう。
5.依頼する司法書士を探すときのポイント
司法書士事務所は、多くの人にとってあまり馴染のない場所と思われます。そのため、いざ、相続登記を司法書士に依頼しようと思ってもどの事務所に依頼すべきか悩むことがないよう、依頼先をさがすポイントをご紹介します。
①相続に関する実績・経験があるか
司法書士等の専門家は、個々の得意分野に応じた事案の依頼を受けるのが通常のため、司法書士の中には相続登記を扱っていない、あるいは相続登記に慣れていない場合もあります。
司法書士に依頼する際は事前に司法書士事務所のHPで、相続登記を扱っていること、依頼者の声や過去の実績等の掲載内容を確認し、相続に関する業務を得意としている司法書を選びましょう。
②料金体系が明確になっているか
司法書士の報酬は、司法書士会が定めた報酬規程に沿って定められていましたが、現在は自由化されており、個々の司法書士が定めた報酬体系になるため、明示された料金が同額でも対応してくれる業務範囲は異なります。
特に相続登記では、登記の申請以外に必要書類の収集や遺産分割協議書の作成などの周辺業務を並行して行うことが多いため、思っていたより高額な報酬となってしまうこともあり得ます。
お金に関する部分はトラブルになりやすいため、業務範囲と費用の概算をしっかりと提示してくれる司法書士を選びましょう。
6.費用をかけてでも司法書士に依頼すべき?相続登記をしないとどうなる?
不動産登記はあくまで権利関係を記録するものなので、相続登記をしなくても、相続により不動産の所有権自体は取得できます。
それでも、相続登記をしないまま放置すると次のような事態になってしまいます。
①次の相続が起きると権利関係・手続きが複雑になる
相続登記をしないまま放置すると、不動産の現所有者が死亡してしまい、さらに相続が発生すると、相続関係、相続手続きは複雑となります。
例えば、祖父→母→自分へと不動産を相続したケースで、不動産の名義が祖父のままだと、遺産分割協議は祖父の相続人と母の相続人を含めて行う必要があり、相続人調査は煩雑となるばかりか、相続人の数が多いため相続人同士がもめてしまい、遺産分割協議がまとまらないおそれが出てきます。
また、不動産の名義人の登記された時代が古いと、現代とは戸籍の見方が異なるため、必要書類を収集するのは慣れていない人にとって非常に困難となり、司法書士等の専門家に依頼せざるを得なくなります。
②不動産の売却・抵当権の設定ができない
不動産登記は、不動産の権利関係を公示する制度であるため、原則として、途中の権利移動を省いた登記は認められません。
例えば、父から不動産を相続したため、その不動産を売却しようと思っても、不動産の名義が父のままだと、父から買主名義にすることはできず、自身に相続登記をしてから買主の名義にする必要があります。
そのため、相続不動産を売却・担保にする予定がある場合、相続登記をしておかないと、相手方に迷惑をかけたりビジネスチャンスを不意にしかねません。
③不動産が差し押さえられる場合がある
民法上、不動産を取得しても、登記をしておかなければその権利を第三者に対抗(権利の主張)することができません。
例えば、相続人がAとBの二人のケースで、遺産分割協議によりAが単独で不動産を相続し、それを登記しないままでいると、Bの債権者が、Bの法定相続分の限度で不動産を差し押さえたとしても、AはBの債権者に対し、遺産分割協議によりAが不動産をすべて相続したことを主張できません。
※不動産が相続された場合、遺産分割協議をするまで所有権は相続人同士の共有状態になる
④法改正により過料に処せられる恐れがある
これまで相続登記は義務ではありませんでしたが、所有者不明土地による土地事業の阻害や近隣土地への悪影響の対策として法改正が行われ、令和6(2024)年4月1日以降は相続登記の申請が義務となりました。
その法改正の内容を簡潔に言うと、令和6(2024)年4月1日以降、相続があったことを知った日から3年以内に相続の登記をしなければなりません。また、令和6(2024)年4月1日より前に相続があった場合でも、同日より3年以内に相続の登記をする必要があります。
そして、この相続登記の申請義務を、正当な理由(注1)なく怠ると10万円以下の過料に処すこととすると定められました。
注1 正当な理由があると考えられるのは次のようなケースです
・数次相続が発生して、相続人調査や必要書類の収集に多くの時間を要する
・遺言の有効性や遺産の範囲等が争われている
・申請義務を負う相続人自身に重病等の事情がある
7.相続登記を「スマそう」で行う場合
これまで記載した通り、相続登記の申請には書類収集や作成と、準備に手間がかかります。
報酬が多少かかっても、時間や手間をかけたくないという方は、専門家への代理申請の依頼を検討するのが良いでしょう。
相続登記代行サービスのスマそうでは、上記の手続きは全て代理可能で、報酬については相続人の人数にかかわらず67,800円(税込74,580円/1管轄・実費別/分割払い可)という定額で承っております。
8.まとめ
相続登記の申請は、単独相続である等、相続関係が複雑でなく、少しでも費用を抑えたい場合は自身で申請するのがおすすめです。
過去の分もさかのぼって相続登記をしなければならない、相続関係が複雑であるため相続人の特定や書類の収集が困難である場合などや、自身で手続きを進める時間がない場合は、定額報酬の相続登記代行サービス「スマそう」をご活用ください。相続に関する各種サポートを行っていますので、お気軽にお問い合わせください。
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