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相続手続きは誰に相談すべき?費用の相場を紹介

2022.11.15 遺産相続 相続手続きは誰に相談すべき?費用の相場を紹介

この記事を監修したのは、

代表 寺島 能史

所属 司法書士法人みどり法務事務所 東京司法書士会 会員番号 第6475号 認定番号 第901173号 資格 司法書士

相続手続きを相談・依頼できる主な士業

相続手続きは、遺産分割、相続登記、相続税の申告等、様々です。これらの手続きは、弁護士、司法書士等の法律職によって得意範囲が異なります。事前にそれぞれの分野を確認し、相談・依頼先を選びましょう。

弁護士

弁護士は、すべての相続手続きを取り扱えます。

特に、紛争性を含む相続手続きに関しては法律上弁護士にしか扱えないため、相続人間で遺産分割協議が調わない、遺言の内容に納得がいかない等の争いがみられるケースでは必ず弁護士に依頼をしましょう。

弁護士であれば、依頼人の代理人として交渉を行い、専門的知識に基づいた的確なアドバイスが可能です。

なお、弁護士は各々が専門分野を持ち、それに応じた依頼を受けるのが基本ですので、あらゆる法律上業務を行えると言っても、相続登記や相続税の申告については対応していない、あるいは相続に関する業務自体扱っていない場合があります。そのため、事務所のHP等で対応可能な範囲を確認することが大事です。

司法書士

司法書士は、弁護士とは異なり紛争性を含む遺産分割協議などの事件を受けることはできませんが、それ以外の相続登記、相続人調査、金融機関での手続き、相続放棄などの手続きは代行して行うことができます。

特に、相続登記に関しては司法書士が専門であるため、相続により不動産を相続した場合の名義変更は司法書士に相談しましょう。

税理士

税理士は、税務の専門家です。準確定申告・相続税の申告など、税金に関する手続きが必要な場合は税理士に相談しましょう。

なお、相続税は相続財産の額が基礎控除額以下であれば納付の必要がないため、税理士に相談する際は相続財産・相続人の状況をある程度でも把握しておくと良いでしょう。

行政書士

行政書士は、役所に提出する書類の作成や自動車の名義変更を主に扱う法律職です。相続の内容は決まっており、車の名義変更、書類各種の作成の代行・助言が必要であれば行政書士に相談しましょう。

「遺産分割の交渉」を相談・依頼するときの費用

相続人間で遺産の分割方法等に紛争性がある場合、問題解決に関する依頼は、弁護士ししか受けることができません。そのような場合で弁護士に依頼する際、弁護士費用がいくらかかるかは気になる点かと思われます。

以下、遺産分割の交渉に関するおおよその弁護士費用を説明していきます。

弁護士に支払う着手金・報奨金

現在、弁護士費用は、各弁護士自身が自由に決められることになっているため、明確な費用は決待っていません。ここでご紹介するのはあくまでおおよその相場です。

弁護士費用は、基本的には「相談料」、「着手金」、「報奨金」に分けられます。

 

①相談料

弁護士に法律相談をする際に必要な費用です。

30分ごとに5000円が目安で、弁護士事務所によっては、初回は60分まで無料という場合もあります。

 

②着手金

弁護士に事件に着手する前に必要な費用です。

20万~30万がおおよその相場ですが、遺産分割に関する事件では依頼者が請求する相続財産の額に比例する傾向にあります。

例えば、「請求する相続財産が3000万円を超えるならその3%+基本料金」、「請求する相続財産が1億円を超えるならその2%+基本料金」という料金体系です。

 

③報酬金

弁護士が事件を解決した(依頼者が経済的利益を得た)場合に支払う費用で、「成功報酬」と同義です。

「回収金額の何%」というように、結果に連動して費用が決まり、全面的に敗訴となってしまった場合は0円になります。

実費や日当

前記の費用とは別に、事件によっては実費や日当が発生します。

 

①実費

裁判所への申立てや書面作成の手続き費用に掛かる費用です。

訴え提起や相続放棄の申立ての際の収入印紙代、戸籍を取り寄せる際の取得費用・切手代等がこれにあたります。

 

②日当

弁護士が遠方へ出張する場合に発生する費用です。

近場の弁護士に依頼した場合でも、弁護士が、遺産分割の協議のために遠方の相続人宅に出向くなどして、日当が発生することがあります。

実際にかかる費用の具体例

 

事例1:弁護士に遺産分割協議を依頼して1000万円を得た場合

項目

内訳

費用(円)

相談料

30分5,000円で1時間相談

10,000

着手金

 -

300,000

報酬金

経済的利益の10%

1,000,000

 実費

切手5,000円

5,000

合計

1,315,000

 

事例2:弁護士に遺産分割協議を依頼して3000万円を得た場合

項目

内訳

費用(円)

相談料

30分5,000円で1時間相談

10,000

着手金

3,000万の2%+30万円

900,000

報酬金

経済的利益の8%

2,400,000

実費

 

収入印紙3万円

出張代5万円

80,000

合計

3,390,000

「不動産の相続登記」を相談・依頼するときの費用

法改正により、令和6(2024)年4月1日以降に登記申請が義務化されます。過去の相続も対象となるため、今後は相続登記にかかわるケースが増えてくるかもしれません。

相続登記は、相続人の数や不動産の価値にもよりますが、意外と費用が掛かります。以下、相続登記の手続きにかかる費用を説明します。

司法書士に支払う報酬

司法書士に相続登記を依頼した場合は、司法書士への報酬が必要です。

司法書士の報酬は各司法書士が自由に定めることになっており、相続登記の場合の相場は約7~15万円です。

ただし、この相場はあくまで1件の「相続登記」の申請に対する報酬です。多くの司法書士事務所では、相続登記を行う物件の数、相続人の数、遺産分割協議書の作成業務によって報酬は変わってきます。

また、この金額はあくまで相続登記の手続き報酬ですので、後述の戸籍謄本等の必要書類の収集にかかる実費とは別になります。

登録免許税

登録免許税とは、登記を申請する際に発生する税金で、税額は次の式で求められます。

  不動産の評価額 × 税率

登録免許税を求めるには、まずは不動産の評価額を知る必要があり、これは「課税明細書」または「固定資産税評価証明書」に記載されています。

課税明細書は、固定資産税が記載された書類で、不動産の所有者に対し役所から毎年4月ごろに送付される書類です。

固定資産材評価証明書は、固定資産税の課税対象となる資産についてその評価額を証明する書類で、取得するには役所に請求する必要があり、その際には1通300~400円程度の手数料がかかります。

なお、課税価格となる不動産の評価額は1000円未満切り捨てで、同時に複数の不動産を相続した場合は、不動産の評価額を合計した額から1000円を切り捨てます。

続いて「税率」ですが、相続を原因とする場合は「0.4%(1000分の4)」、遺贈を原因とする場合は[2.0%(1000分の20)]です。

 

 

登録免許税の計算例

 評価額が2543万1234円の土地と評価額が1564万1003円の家を相続した

  • ①不動産の評価額を合算

2543万1234円 +1564万1003円 = 4107万2237円

  • ②不動産の評価額を合算した額から1000円未満を切り捨てる

4107万2000円  ← これが課税価格となる

  • ③課税価格に税率をかける

4107万2000円 × 0.4% = 16万4288円

  • ④税率をかけた額から100円未満を切り捨てる

16万4200円  ← これが最終的な登録免許税となる

実費(必要書類の取得費用など)

相続登記では、不動産を相続したことの証明として、戸籍謄本等の書類を添付書類として提出する必要があります。これらの書類は、1通当たりの手数料自体は大きくありませんが、相続関係によっては大量の戸籍が必要になり、また遠方から書類を取り寄せる場合は送料も加算されます。

一般的な相続登記で必要な戸籍謄本等は5~10通程度で、実費だけでも5000~1万円ほどはかかります。

書類名

1通当たりの手数料

備考

戸籍謄本

450円

被相続人の

750円

改製原戸籍

750円

戸籍の附票の写し

300円

住民票

300~400円

自治体により異なる

印鑑証明書

200~400円

自治体により異なる

固定資産税評価証明書

200~400円

自治体により異なる

実際にかかる費用の具体例

司法書士に1000万円の土地の相続登記を依頼した場合

項目

内訳

費用(円)

登録免許税

1,000万×0.4

40,000

実費

10,000

司法書士への報酬

 

相続登記手続き 5万円

遺産分割協議書作成3万円

80,000

合計

130,000

「銀行預金の解約手続き」を相談・依頼するときの費用

「銀行預金の解約手続き」を相談・依頼するときの費用

銀行口座や株の名義人が死亡した場合、相続人は銀行・証券会社に連絡をとり、預貯金の解約や株の名義変更等の手続きを行う必要があります。

これらの手続きは戸籍等の書類収集で時間がかかるため、自身で手続きを行うのが難しければ士業に手続きの代行を依頼しましょう。

士業に支払う報酬

士業に銀行預金の解約手続きを依頼した場合の相場は、銀行一行あたり5~10万円です。

士業の報酬は各々が自由に決められるため、報酬体系も異なり、他の相続手続きと一緒に依頼すれば割引されるケースもあるようです。

必要であれば、複数の法律事務所に見積もりを依頼すると良いでしょう。

実費(必要書類の取得費用など)

銀行預金の解約手続き等では、相続が生じたことを証明するために戸籍謄本等の書類が必要で、それらの取得費用は実費として前記の報酬とは別に発生します。

基本的に必要な書類は以下の通りで、一般的には取得に数千円かかります。

  • 被相続人の出生から死亡に至るまでのすべの戸籍謄本(改製原戸籍、除籍謄本)
  • 相続人の戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書(発効から6カ月以内)
  • 被相続人名義の通帳
  • 銀行所定の相続届
  • 遺産分割協議書
  • 遺言書(被相続人が遺言書を残している場合)

実際にかかる費用の具体例

 

事例1 銀行1行の預金解約手続きを士業に依頼した場合

項目

費用

報酬

6万円

実費

5,000円

合計

6万5,000円

 

事例2 銀行2行の預金解約手続きを士業に依頼した場合

項目

費用

報酬

12万円

実費

5,000円

合計

12万5,000円

「自動車の名義変更手続き」を相談・依頼するときの費用

自動車を相続した場合、乗り続ける・売却・廃車のいずれにせよ名義変更の手続きが必要です。

士業に支払う報酬

自動車の名義変更の手続きは、戸籍謄本の取得や運輸支局での手続きが必要のため、平日に時間が取れない方は、司法書士や行政書士に手続きの代行を依頼しましょう

士業に依頼した場合、報酬の目安は数万円です。

実費(移転登録手数料や車庫証明代、ナンバープレート代など)

  • 移転手数料         500円
  • 車庫証明          2,600~2,900円(地域により異なる)
  • ナンバープレート変更    1,500円前後(地域により異なる)
    ※ナンバープレートは、ナンバーを希望する場合4,000円強かかります
  • 戸籍等の必要書類の取得費用 数千円

なお、車庫証明の取得は、自動車の相続人が被相続人と同居しており、かつ自動車の保管場所が変わらない場合は不要です。ナンバープレートの変更は陸運局の管轄が変わらないのであれば不要です。

実際にかかる費用の具体例

普通自動車1台の名義変更を士業へ依頼した場合

項目

費用

士業への報酬

3万円

移転手数料

500円

車庫証明

2,700円

ナンバープレート変更

1,500円

戸籍等の必要書類の取得

4,000円

合計

3万8,700円

「相続税の申告」を相談・依頼するときの費用

遺産を相続した場合、遺産の額が基礎控除額(※)を上回るのであれば相続税の申告が必要です。相続税の申告については、税の専門家である税理士に依頼するケースが多いと思われますので、税理士に依頼した場合の費用等を説明していきます。

※基礎控除額:3,000万+600万円×法定相続人の数

税理士に支払う報酬

税理士に相続税の申告を依頼した場合の費用相場は、遺産総額の0.5~1.0%です。

例えば、遺産総額が1億円であれば報酬は50万~100万円です。

また、税理士事務所によっては「相続人の数が多い」、「遺産に土地や非上場株式が含まれている」、「税理士に依頼した日から相続税の申告期限までの期間が3カ月以内」といった場合は加算報酬を定めています。

税理士に依頼する場合は、事前に事務所HPで報酬体系を確認すると良いでしょう。

実費(現地調査に伴う費用や必要書類の取得費用など)

  • 税務調査の税理士による立会報酬     3~5万円
  • 書面添付についての意見聴取などの日当  2万5,000円前後
  • 戸籍等の必要書類の取得費用       数千円
  • 現地調査を行った際の実費        場合による

実際にかかる費用の具体例

 

事例1 相続人が2人で遺産が現金5000万円の場合

項目

内訳

費用

基本報酬

遺産の1.0%

50万円

必要書類の取得費用

5,000円

複数相続人による加算報酬

基本報酬×10%×(相続人の数-1)

5万円

合計

55万5,000円

 

事例2 相続人が1人で遺産が土地を含む1億万円の場合

項目

内訳

費用

基本報酬

遺産の1.0%

100万円

必要書類の取得費用

5,000円

土地による加算報酬

1利用区分につき6万円

6万円

合計

106万5,000円

まとめ

以上が、相続手続きに関する依頼先と費用の相場についてです。

最近では、多くの法律事務所がHPを開設しているので、依頼前におおよその費用を確認すること可能です。

ただし、HPに費用体系が載っていても、相続手続きに関する業務をあまり行っていない場合もあるため、事例紹介や依頼者からの感謝の声など、多くの実績を積んでいるかも依頼先を選ぶ上では重要です。

当事務所では、皆様になるべくストレス無く相続を済ませていただくために、定額の相続登記代行サービス「スマそう-相続登記-」をはじめとする相続に関する各種サポートを行っています。まずは、お気軽にお問い合わせください。

この記事を監修したのは、

代表 寺島 能史

所属 司法書士法人みどり法務事務所 東京司法書士会 会員番号 第6475号 認定番号 第901173号 資格 司法書士

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