遺産分割協議ってどんなことをするの?
2022.09.22 遺産相続亡くなった人(被相続人)に相続人が1人しかいない場合、基本的に、被相続人の財産は1人しかいない相続人が単独で相続します。
しかし、相続人が複数いる場合は話が違います。
テレビドラマなどで相続人同士が集まって話し合い、遺産の分け方で揉めるシーンを見たことがある人も多いでしょう。大抵の場合、そのシーンこそが今から解説する「遺産分割協議」の一幕です。
はたして現実の遺産分割協議とは、一体どういったものなのでしょうか?
目次
遺産分割協議の概要
遺言がある場合、その内容に従って遺産を分割することが原則です。一方、遺言がなければ、法律の規定に則った割合で遺産を共有することになります。
しかし相続人「全員」の合意があれば、遺言や法律の規定とは異なる割合で遺産分割をすることが可能です。相続人同士が遺産分割について合意に至るように話し合う、協議することを「遺産分割協議」と言います。
つまり遺産分割協議とは、相続人同士がお互いに合意するために、遺産分割の方法について話し合うことを指す言葉なのです。
遺産分割協議の参加者
遺産分割協議には、相続人が全員参加しなければなりません。誰か1人でも欠いた状態で行われた遺産分割協議の内容は無効です。
遺産分割協議は、相続人の全員が同時に同じ場所に集まる必要はありません。手紙などでやり取りしても構いませんし、近年ではオンライン会議などで遺産分割協議が行われるケースもあります。方法はともかく、相続人全員が遺産分割協議に参加する必要があるのです。
協議する内容
協議する内容は、もちろん遺産分割についてです。原則的に自由に遺産を分割することが可能というのは、既に述べた通りです。均等ではなく不平等な分割方法になっても、相続人全員が納得して合意に至れば問題ありません。
目的
遺産分割協議の目的は遺産分割ですが、協議した後で問題が発生しないように、合意した内容を証拠として書類に残す必要があります。
この書類を「遺産分割協議書」と言い、ある意味では遺産分割協議書の作成も遺産分割協議の目的とも言います。
遺産分割協議を始めるべき時期と終えるべき時期
特に時期は決まっていませんが、相続税の申告期限が相続開始後10ヶ月以内なので、それまでに終わらせるべきです。
相続税には、遺産分割の内容が決まっていないと受けられない軽減措置があります。相続税を軽減するためにも速やかに遺産分割協議を開始し、相続開始から10ヶ月以内には終わらせましょう。
ただし相続財産の総額が少なく、相続税の課税対象にならないケースも多いです。その場合は10ヶ月を超えても問題ありません。しかし、明確な期限がないからといっていつまでも協議を続けていると、相続財産が変動してしまう可能性があります。
例えば、被相続人の有価証券の価値が増減することがありますし、家屋が劣化・破損したりして価値が減ることもあるでしょう。
そのため、できるだけ早めに決着をつけることをおすすめします。
遺産分割協議の流れ
ここからは、遺産分割協議の一般的な流れを紹介します。
➀相続人の確定
遺産分割協議には相続人全員の参加が必要であり、1人でも欠けると無効となります。協議の前に、把握できていない相続人はいないかを調査してください。全ての相続人を把握して、全員に遺産分割協議を開催する旨の連絡を行いましょう。
②財産の確定
上記と並行して相続財産の調査も行い、財産の内容を確定しましょう。遺産分割協議後に「故人の隠し口座が見つかった」「管理されていない不動産があった」などが判明すると、遺産分割協議をやり直すことになりかねません。協議前に全ての財産を明確にしてください。
➂遺産分割協議
相続人と財産を確定できたら、実際に遺産分割協議を開催して、相続人同士で話し合います。協議と言うと大げさに聞こえますが、誰かの家のお茶の間に集まって話し合うこともありますし、電話や手紙で済ますこともできます。全員が納得して合意に至ったら、次のステップに進みます。
④遺産分割協議書の作成
遺産分割協議で合意した内容に沿った遺産分割協議書を作成します。作成内容は、次の項目で詳しく説明します。
遺産分割協議書に盛り込む内容
遺産分割協議書は、手書きでもパソコンで作っても問題ありません。様々な書き方がありますが、まずは「遺産分割協議書」というわかりやすいタイトルをつけ、次の内容を記してください。
被相続人の最後の住所、氏名、死亡日など
被相続人の情報とは「氏名」「最後の住所」「死亡日」です。「本籍地」「生年月日」も記載しましょう。
分割する相続財産の詳細
誰が何を相続することになったのかを、目録形式で記載します。
「相続人Aが相続する財産」と書いた後に改行して、相続することになった財産を列挙します。その後、「相続人Bが相続する財産」と書いてから、同じような形式で相続財産を書き連ねていきましょう。
相続人全員の合意があること
あくまで例ですが、「以上の内容で相続人全員が合意し、遺産分割協議が成立したため、本書◯通を作成し、署名押印のうえ各自1通ずつを保管する」などと書きます。「◯」には相続人の数と同じ数字が入ります。
相続人全員の氏名と住所、実印の押印、続柄
最後に、協議が成立した日付を記入したうえで、遺産分割協議に参加した相続人が、氏名・住所・被相続人との関係(続柄等)などを書き、実印を押します。作成した遺産分割協議書の全てに各自が署名押印を行い、各自で1枚ずつ保管することになります。
こういう場合はどうなるの?
遺産分割協議の際に、発生しやすい疑問をピックアップして紹介します。
協議がまとまらない
裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。
「調停委員」という人に仲介してもらいながら、相続人全員が合意できる遺産分割を模索する方法です。調停でも合意に至らない場合は、裁判所が審判を行って遺産分割方法を決定する「遺産分割審判」という制度を利用することができます。
未成年者がいる
未成年者は、遺産分割協議に参加できません。
そのため法定代理人である親権者(父母等)が、未成年者の代わりに遺産分割協議に参加する必要があります。しかし、親権者も相続人である場合、未成年者との利害が対立してしまうおそれがあります。そういったケースでは、家庭裁判所に「特別代理人」の請求をしてください。裁判所に選任された特別代理人が、未成年者に代わって遺産分割協議に臨みます。特別代理人は未成年者の親族、例えば祖父母などから選任されることもあります。
遺産分割協議書の書き方がわからない
相続人が多い場合や、相続財産の種類が現金だけでなく不動産や有価証券、美術品その他まで多岐に渡る場合は、遺産分割協議書の書き方が複雑になってしまいます。
ミスがないように書類作成をするには、専門家である司法書士への依頼がおすすめです。司法書士に依頼するだけで、わかりやすく、見やすく、正確な遺産分割協議書を作成することができます。
まとめ
遺産分割協議は相続人同士の全員で行う必要がありますが、遺産分割協議書の作成は専門家に依頼することが可能です。
みどり法務事務所の「スマそう-相続登記-」は、遺産分割協議書の作成はもちろんのこと、遺産分割協議書を使った相続手続きも一括して任せることができるサービスです。費用はかかりますが、手間をかけずに手続きを完了させることができるので、ぜひご活用ください。
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