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遺産分割協議書に割印や契印は必要?押す場所や失敗したときの訂正方法を紹介

2022.11.28 遺産相続 遺産分割協議書に割印や契印は必要?

この記事を監修したのは、

辻本 歩

所属 司法書士法人みどり法務事務所 愛媛県司法書士会 会員番号 第655号 認定番号 第1212048号 資格 司法書士

遺産の分け方が決まって遺産分割協議書を作成する際、割印や契印(けいいん)の押印が必要な場合もあります。では、どのような場合にそういった印が必要になるのでしょうか?

この記事では、遺産分割協議書に押す割印と契印の違いや押し方を解説します。押す場所や失敗して押し直しが必要になったときの注意点も紹介するので、遺産分割協議書を作成する際の参考にしてください。

割印と契印(けいいん)の違い

割印と契印は、契約書や遺産分割協議書などの書類に押す点では同じです。しかし、どのような場合に押すのか、必要になる場面や役割が異なります。

割印:遺産分割協議書を2部以上作成するときに押す

割印とは、同じ内容の遺産分割協議書を2部以上作成したときに、すべて同じ内容であることを証明するために押すものです。すべての遺産分割協議書にまたがるように、各相続人が実印を使って押印します。

遺産分割協議書を1部だけ作成して、相続人の中の1人が保管することも考えられますが、一般的には相続人の人数分だけ作成して、各相続人が1部ずつ保管します。1部しかないと保管している人が偽造する可能性があり、また各相続人が相続手続きで遺産分割協議書を使う際、各自が1部ずつ持っていればすぐに手続きで使えて便利だからです。

しかし、相続人の数だけ作成して各相続人が保管している場合でも、誰かが内容を偽造して偽の遺産分割協議書を作る可能性もゼロではありません。そのため、すべての遺産分割協議書が同じ内容であることを証明するために割印を押します。

契印:遺産分割協議書が2枚以上の複数ページになるときに押す

契印とは、2枚以上の書類が1つの連続した文書であることを証明するために押すものです。契約書や遺産分割協議書などが複数ページにまたがる場合に、すべてのページのつなぎ目に各相続人が実印を使って押印します。

契印がない場合、各相続人の押印があるページ以外は偽造が可能であり、書き換えられても気づくことができません。また途中のページが丸ごと抜き取られたり、逆に本来の遺産分割協議書ではなかったページが追加されたりする可能性もあります。

そのため遺産分割協議書においても、各ページが連続したものであることが分かるように契印を押します。

遺産分割協議書に割印を押すときのポイント

遺産分割協議

上のイメージ図のように、割印はすべての遺産分割協議書にまたがるように各相続人が押印します。以下では、割印を押すときのポイントを紹介します。

すべての遺産分割協議書にまたがるように各相続人が実印で押印する

遺産分割協議書のどこに割印を押すのかに明確な決まりはありませんが、遺産分割協議書の上の部分に押印することが一般的です。すべての遺産分割協議書にまたがるように、相続人全員が実印で押印します。

遺産分割協議書に押印する際に使う印鑑は、認印ではなく実印です。署名欄への押印や割印・契印の押印は、いずれも実印を使って押印します。実印でなくとも法律上は有効ですが、実務上、提出先の金融機関や法務局は実印の押印を要求するのが一般的ですのでご注意ください。

なお、押印に使った印鑑が実印であることを証明するために印鑑証明書も必要です。相続人の中に印鑑登録をしておらず、印鑑証明書を取得できない人がいる場合は、その人の住所地の役所で印鑑登録の手続きをしましょう。

失敗した場合は訂正線で消さずに押し直す

割印が滲んでしまった場合やずれてしまった場合など、押し方に失敗したときは、失敗した印影の上に少しずらして訂正印を押印し、その隣に改めて割印を押し直します。

記載した内容を訂正する場合には一般的に二重線が使われますが、割印の訂正では二重線を使ってはいけません。二重線で消す方法だと他の人がさらに二重線で消してしまうリスクがあるからです。

遺産分割協議書に契印(けいいん)を押すときのポイント

失敗したときに訂正線で消さず少しずらして訂正印を押印し、その隣に改めて押し直す点や実印で押印する点は、契印でも割印でも同じです。

ただし契印の場合は、遺産分割協議書がホチキスで綴じられている場合と製本テープで綴じられている場合で押し方が異なります。

遺産分割協議書のページ数が少なくホチキスで綴じられている場合は、左右両ページにまたがるように相続人全員が、すべてのページのつなぎ目に実印で押印します。

遺産分割協議書の契印1

一方、遺産分割協議書が製本テープ(下イラストの緑色の部分)で綴じられている場合は、ホチキスで綴じられている場合とは違って、途中のページが抜き取られたり新たなページが追加されて偽造されたりすることは基本的に考えられません。

そのためホチキスで綴じられている場合のように、すべてのページのつなぎ目に契印を押す必要はなく、表表紙と裏表紙の両方に製本テープにまたがるように契印を押します。

遺産分割協議書の契印2

遺産分割協議書に割印や契印(けいいん)は押すべき?

割印や契印、捨印など押印にはいくつかの種類があり、押印に慣れていない方だとその違いがよく分からず、押す必要性が高いものがどれなのか迷う場合があります。割印や契印は、遺産分割協議書に押すべきなのでしょうか?

割印や契印がなくても遺産分割協議は無効にならない

まず、割印や契印は遺産分割協議自体の効力に影響を与えるものではありません。なぜなら、遺産分割協議はそもそも相続人間の合意のみによって成立し、遺産分割協議書はそれを書面にした証明書に過ぎないからです。

しかし、数葉にわたる遺産分割協議書を作成する場合には、契印がないと有効な協議書と認められないのが一般的です。ですので、かかる協議書を法務局や金融機関等に提出する際はしっかり契印が押印されているかご注意ください。

なお、割印に関しては遺産分割協議書の有効性にも影響を及ぼさないので、仮に押印していなかったとしても手続き上問題ありません。

割印や捨印はなくても良いが契印は押したほうが良い

割印を押しておけば遺産分割協議書の信頼性が高まるので、押しておくと良いとされていますが、遺産分割協議書が何ページにも及んで分厚いと割印を押しにくい場合もあるでしょう。そのような場合は、無理に押す必要はないです。

また、各相続人が捨印を押しておけば、仮に遺産分割協議書の訂正が必要になった場合でも訂正に必要な手間が軽くて済むので便利ですが、捨印は悪用されるリスクがある点に注意が必要です。自分が知らないところで遺産分割協議書の訂正が行われて、捨印があることで訂正を認めた扱いにされてしまう可能性があります。

一方で前述の通り、契印は遺産分割協議書に押すほうが良いでしょう。

まとめ

遺産分割協議書に押す割印と契印は混同されがちですが、役割が異なります。割印は遺産分割協議書を2部以上作成するときに、契印は遺産分割協議書が2枚以上の複数ページになるときに押印するものです。

割印を押す場所に明確な決まりはありませんが、一般的には遺産分割協議書の上の部分に押します。また、すべての遺産分割協議書にまたがるように実印で押すようにしてください。

ご家族が亡くなって相続が起きると、さまざまな手続きが必要になります。書類を作成したり手続きを進めたりするためには専門的な知識が必要になり、一般の方では難しい場合も少なくありません。相続でお困りの方は司法書士法人みどり法務事務所にご相談ください。

当事務所では、皆様になるべくストレス無く相続を済ませていただくために、定額の相続登記代行サービス「スマそう-相続登記-」をはじめとする、相続に関する各種サポートを行っています。まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事を監修したのは、

辻本 歩

所属 司法書士法人みどり法務事務所 愛媛県司法書士会 会員番号 第655号 認定番号 第1212048号 資格 司法書士

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