相続で司法書士に依頼できること、できないことは?司法書士の選び方もあわせて解説
2023.03.31 相続登記
法律に関するトラブルが生じた際は、法の専門家である弁護士、司法書士に相談することができます。
弁護士であれば、ドラマや漫画でも題材となることが多いため、どのようなことを相談できるのかをイメージできる方は多いでしょう。
ただ、司法書士については、どのような仕事をしているのか、どんなことを相談できるのか、はっきりとイメージできない方がいるかもしれません。
司法書士は、相続、不動産の名義変更、借金問題など実生活で対面し得る身近な問題についても多く扱っているため、場合によっては弁護士ではなく司法書士に依頼した方がいいケースもあります。
本記事では、そんな司法書士に依頼できること・依頼できないことについて解説するので、相談先を迷っている方などは参考にして下さい。
目次
1.相続で司法書士に依頼できること
相続で遺産分割協議や不動産の名義変更など様々な手続きを行う必要がありますが、司法書士にはこれら多くの手続きを依頼することができます。
相続人・相続財産の調査
相続が発生した場合、遺産分割協議や不動産の名義変更を行う前提として、まずは相続人・相続財産の調査を行う必要がありますが、これは司法書士に依頼することができます。
相続人の調査は、亡くなった方の戸籍を死亡から出生まで遡って相続人を確認していくのですが、戸籍を読むのに慣れていない方にとって戸籍の収集・相続人の判別は難しい作業です。
また、相続財産が複数の銀行預金、株式、不動産など多数にわたる場合、財産の調査には結構な手間がかかります。
相続放棄をする場合は相続から原則3カ月以内という期限がある以上、相続人・相続財産の調査もこの期間内に行うことになります。後になって新たな相続人・相続財産が判明したという事態を防ぐためにも、相続が発生した早い段階で司法書士にこれらの調査を依頼すると良いでしょう。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議の作成を司法書士に依頼することができます。
法定相続分で相続しない場合は、相続人同士で遺産分割協議を行い、その内容を「遺産分割協議書」としてまとめます。
遺産分割協議書は、相続財産の名義変更のための必要書類や、後のトラブルを避けるための証拠となる重要な書類です。明確な様式はないのですが、亡くなった方の氏名、相続人の証明捺印など最低限必要な記載があります。
形式に不備があったため遺産分割協議書として使えない、という事態を防止するため、不安がある方は司法書士に協議書の作成を依頼すると良いでしょう。
不動産の登記手続き
不動産を相続した場合は名義変更のための相続登記が必要になりますが、この作業は司法書士に依頼することができます。
相続登記の申請自体は司法書士に依頼せず、自身で行うことも可能です。
ただ、相続登記を申請するには、戸籍・遺産分割協議書などの必要書類の収集や登記申請書の作成など、事前知識がなければ難しい作業が多くなります。
また、法改正により令和6(2024)年4月1日からは相続登記が義務となり、相続があったことを知ってから3年以内に相続登記を申請しなければならないうえ、この義務に違反すると罰則が科せられるため早い段階で相続登記の申請が必要となります。
相続財産に不動産がある場合は、早めに相続登記の手続きを司法書士に依頼した方が良いでしょう。
生前対策
相続が発生する前に財産を管理する制度として、成年後見・任意後見制度、家族信託制度が挙げられますが、こういった相続以外の生前対策も司法書士に相談することができます。
2.相続で司法書士に依頼できないこと
前述の通り、司法書士には多くのことを依頼できますが、一部、業務範囲外のため次のようなケースでは司法書士に依頼することができません。
相続税の申告
相続税の申告など税金関連は税理士の業務範囲であるため、司法書士は扱うことができません。
家庭内紛争の代理人
相続であっても、相続人同士で争いがあるケースでは、司法書士が対応することができないため、弁護士に依頼することになります。
3.司法書士に依頼した方がいいケース
司法書士の業務範囲は広いため多くのことを相談できますが、特に次のようなケースでお悩みの場合は、無理に自身で解決しようとせず司法書士に依頼した方がスムーズに解決できることがあります。
相続の権利関係が複雑
相続人の数が多い、相続人同士が不仲、不動産が共有状態であるなど、相続の権利関係が複雑な場合は、初期の段階で司法書士に依頼すべきです。
相続関係が複雑だと、相続人・相続財産の調査の難度が高く、また、遺産分割協議が上手くまとまらず争いに発展する、という事態になりかねません。特に、相続が発生後、相続人の一部が死亡してさらに相続が発生する「数次相続」のケースでは、1回目の相続と2回目の相続を合わせて処理する必要があるため、より難易度が高くなります。
こういったケースでは、初期の段階で司法書士が関与すれば、法的な見地から的確に処理することができます。
財産に不動産がある
相続財産に不動産がある場合は、相続登記を司法書士に依頼しましょう。
上述の通り、法改正により令和6(2024)年4月1日からは相続登記が義務となり、相続があったことを知ってから3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、これは過去の相続も対象となり、2024年4月1日より前に相続が発生した場合は同日から3年以内に相続登記を申請することになります。
相続登記の申請は準備に手間がかかり、知識がないと難しいため、司法書士に依頼してすべて一任することでスムーズに相続登記を完了できます。
生前対策をしたい
成年・任意後見や家族信託など、相続が発生した後にトラブルにならないよう生前対策を考えている場合は、事前に司法書士などの専門家に依頼し、自身または両親に合った制度を選びましょう。
4.相続相談で司法書士を選ぶポイント
司法書士に相談すると言っても、司法書士は2023年3月現在、約23000人が登録しており、何処の事務所に相談すればいいか分からない、という方がいるかもしれません。
ここでは、司法書士を選ぶ際のポイントをご紹介します。
相談に対して真摯に対応してくれる
相談者の事情・希望をしっかりと聞き、専門的な内容も分かりやすい言葉で説明してくれる、相談者の目線に立った司法書士がおすすめです。
相談者の発言をさえぎり、難しい専門用語ばかりで自分の意見ばかり押し付ける司法書士では、その司法書士の意向で話が進み、相談者の希望が完全にかなえられない恐れがあります。
費用内訳の説明を丁寧にしてくれる
司法書士に報酬として支払う費用は、依頼先を選ぶに当たって重要な事項です。正式な依頼の前に明確な費用の見積もりを出してくれる司法書士を選びましょう。
相続登記などの手続きでは、必要書類を収集するための手数料が実費として発生します。あらかじめ見積もりを貰っておけば、事前の説明より高額の報酬になってしまった、といったトラブルを避けることができます。
相続に関する知識が豊富
相続の相談は、相続に関する知識・業務経験が豊富な司法書士がベストです。
司法書士は多くの業務を扱うことが来ますが、基本的には自身の得意な分野に応じた業務を行うため、中には相続に関する業務の経験が不十分である司法書士もいます。
あらかじめ司法書士事務所のホームページを確認し、相続に関する事例の照会・相続相談の依頼者の声など、相続業務を扱っていることを確認できる司法書士を選びましょう。
5.まとめ
相続で必要な手続き、話し合いは手間がかかり煩雑なものが多いです。
上記の通り、司法書士には多くのことを依頼することができるので、手間や労力を考えると、多少費用がかかっても司法書士に依頼した方が良いケースもあります。
相続手続きにお悩みの方は、一度司法書士にご相談ください。
みどり法務事務所では相続でお悩みの皆様に、安心でリーズナブルな相続を済ませて頂くために、定額の不動産の名義変更サービス「スマそう-相続登記-」をはじめとする遺産相続に関する各種サービス(ゆうちょ・みずほ・三井住友・三菱UFJ、りそななどの各金融機関の相続に伴う預貯金の解約払戻し、その他相続に関する裁判所提出書類作成サポートなど)を行っています。
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