LINEで相談

不動産の相続登記は自分でできる?手順や注意点などを知ってから判断しよう

2023.03.31 相続登記(名義変更) 不動産の相続登記は自分でできる?手順や注意点などを知ってから判断しよう

この記事を監修したのは、

代表 寺島 能史

所属 司法書士法人みどり法務事務所 東京司法書士会 会員番号 第6475号 認定番号 第901173号 資格 司法書士

相続などにより不動産を取得した場合、相続登記により不動産の名義変更が必要です。

相続登記の手続き司法書士に依頼するのが一般的ですが、中には、依頼はせず自身で済ませたいという方もいると思います。

本記事では、そのような方のために、司法書士に依頼しないで相続登記を行うことができるかについて解説していきます。

1.不動産の相続登記は自分でできる?

「相続登記」と一口に言っても、相続人の数、相続が起きた回数など事例は様々です。まずは、自分で相続登記を行いやすいケース、難しいケースを挙げていきます。

自分で登記がしやすいケース

自分で相続登記を行いやすいのは、相続関係が単純なケースです。

具体的には、相続人が自分一人の場合、または相続人が配偶者と子供だけ、のようなケースです。こういったケースでは、戸籍等の必要な書類は多くなく、遺産分割協議も行いやすいため、相続登記は比較的簡単と言えます。

なお、書類の収集や相続登記の申請で役所に行くことになるため、平日に時間が取れることが前提です。

自分では登記が難しいケース

自分で相続登記を行うのが難しいのは、相続関係が複雑な場合です。

相続関係が複雑と言っても様々な事例があるため、いくつかパターンをあげます。

次のようなケースでは、早い段階で司法書士に依頼した方が、手続きをスムーズに進められるでしょう。

・数次相続が発生した場合

相続登記をしないまま放置すると、その間に不動産の現所有者が死亡する数次相続が発生してしまい、相続関係、相続手続きは複雑となります。

例えば、祖父→母→自分へと不動産を相続したケースで、不動産の名義が祖父のままだと、遺産分割協議は祖父の相続人と母の相続人を含めて行う必要があり、相続人の数が多くなるため、遺産分割協議をまとめるのが困難になります。

また、不動産の名義人の代が古いと、現代とは戸籍の見方が異なるため、必要書類を収集するのは慣れていない人にとって非常に困難となり、司法書士等の専門家に依頼せざるを得なくなります。

・相続人間でトラブルが起こっている場合

遺産分割協議は後のトラブルを防止するため、相続人同士の十分な話し合い・連携が必要ですが、相続人同士の関係が疎遠の場合、感情的なもつれなどにより争いに発展してしまうケースがあります。

当初から司法書士が専門的な第三者の立場で間に入り、遺産分割協議を進めれば、争いを未然に防げる可能性が高いです。

なお、既に相続人間の争いが顕在化している事案は、司法書士では扱えないため、弁護士に相談しましょう。

・相続財産が多い場合

相続登記をする前提として、まずは相続を承認するか放棄するかを決める必要がありますが、相続の承認・放棄は原則として相続があったことを知った日から3カ月以内に行わなければなりません。

相続財産が多い場合、調査に時間がかかり、3カ月以内を経過する恐れがありますが、手続きに慣れている専門家であれば迅速に調査が可能です。

・相続した不動産を売却予定の場合

不動産を売却する場合、あらかじめ相続登記を済ませておく必要があります。

相続登記に不備があり登記が完了しないと、取引相手に損失を与える恐れもあるため、すぐに名義を変更したい場合は司法書士に依頼して確実に登記を完了させましょう。

2.自分で不動産の相続登記をする手順

相続登記を申請するまでの流れは、基本的に次の通りです。

①必要書類を集める

登記では、登記原因を証明するための書類が必要です。

相続登記では、相続関係を証明するために戸籍や住民票を集めることになります。

・必要書類の一例

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本及び除籍謄本
  • 被相続人の出生から住民票除票又は本籍地が記載された戸籍の附票
  • 法定相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 遺産分割協議書に押印した印鑑の印鑑証明書
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 固定資産税評価証明書

②遺産分割協議書を作成する

遺言書が残されていない場合、遺産分割協議を行ったうえで、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議では、相続人全員で相続財産を誰がどのように相続するかを話し合います。相続人全員の参加が必要ですが、現実に一つの場所に集まる必要はなく、文書や電話で

意思を確認する方法でも大丈夫です。

そして、遺産分割協議が終わったら、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書に明確な形式はありませんが、亡くなった方の氏名・住所・本籍・死亡日等・協議の日付・財産の記載・法定相続人の署名捺印など、最低限押さえておかなければならない点が多数あり、その点を守らなければ無効となってしまいます。

③登記申請書を作成、申請する

必要書類の収集、遺産分割協議の作成が済んだら、相続登記の申請書を作成し、法務局に申請します。

登記の申請方法は、窓口・郵送・オンラインの3つがありますが、慣れていない場合は、訂正が容易な窓口で申請するのがおすすめです。

なお、登記申請の際は登録免許税が課税されるので、申請書には税額分の収入印紙を貼り付けましょう。

※申請方法による違い

・窓口で申請

法務局に直接出向く必要はありますが、申請書に不備があってもその場で指摘してもらえ、申請書に押印したものと同じ印鑑があれば修正することが可能です。

・郵送で申請

管轄の法務局が遠方であっても、郵送による申請が可能です。

郵送する際の封筒には「登記申請書在中」と明記する必要があります。また、重要な書類を多く封入することになるため、書留郵便や赤色レターパックなどを利用すべきでしょう。

ただし、登記申請書に不備がある場合、訂正も郵送によりおこなうため時間がかかります。すぐに登記したい場合には不向きな方法です。

・オンラインで申請

登記はオンラインでも申請が可能です。オンラインであれば自分に都合のいいタイミングで窓口に出向くことなく申請が可能です。

登記・供託オンライン申請システムを利用した手続き

https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/

3 .自分で不動産の相続登記をするときの注意点

登記に関する知識がなければ難易度が高い

登記の手続き自体は司法書士に依頼せず自身で行うことは可能ですが、これまで解説した登記手続きはあくまで概要です。実際には個々の事案に応じて、必要な書類、登録免許税、申請書の内容等は異なり、また免税・減税措置は申請する側が申し出ないと受けることはできません。

そのため、登記に関する事前知識がないと、相続登記を自身で進めるのは難しいと言えます。

義務化から3年以内に手続きを終えていないと過料が発生する

令和6(2024)年4月1日以降は、相続登記をしないまま3年以上放置すると罰則が科せられる恐れがあります。

これまで、相続登記は義務ではありませんでしたが、法改正により令和6(2024)年4月1日以降は相続登記の申請が義務となりました。

法改正の内容を簡潔に言うと、令和6(2024)年4月1日以降、相続があったことを知った日から3年以内に相続の登記をしなければなりません。

また、令和6(2024)年4月1日より前に相続があった場合でも、同日より3年以内に相続の登記をする必要があります。

そして、この相続登記の申請義務を、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料に処すこととすると定められました。

そのため、相続した不動産を売却・処分する予定がなくても、相続登記は早めに済ませましょう。

手間と時間がかかる

自身で相続登記を行う場合は手間と時間がかかります。

相続登記を司法書士に依頼した場合、最初に面談をする必要がありますが、正式に依頼した後は相続登記が完了するまで待っていればいいだけです。

自身で手続きを進める場合、当然、書類収集から申請まですべて自身で行うことになります。相続登記では、戸籍や住民票など、ほとんどの書類を役所から取り寄せることになります。また、登記は法務局で申請します。

そのため、相続登記の手続きは平日に行うことが多くなります。日中、仕事で忙しい方などは、手続き完了までかなりの時間がかかることになるでしょう。

4 .まとめ

以上、相続登記を自身で行うことについての解説です。

相続登記は、書類の収集・遺産分割協議・申請と、手順だけ見れば単純ですが、実際の手続きは個々の事案に応じて異なり、事前知識がなければスムーズに進めるのは困難です。

自身で手続きを進めてみたが不安・疑問点がある方などは、一度司法書士に相談してみると良いでしょう。

みどり法務事務所では相続でお悩みの皆様に、安心でリーズナブルな相続を済ませて頂くために、定額の不動産の名義変更サービス「スマそう-相続登記-」をはじめとする遺産相続に関する各種サービス(ゆうちょ・みずほ・三井住友・三菱UFJ、りそななどの各金融機関の相続に伴う預貯金の解約払戻し、その他相続に関する裁判所提出書類作成サポートなど)を行っています。

また、電話や来所での相続相談は無料で承っております。相続に関してお悩みの方はまずはお気軽にお電話ください。

関連記事

ページタイトル

ページタイトル

ページタイトル

この記事を監修したのは、

代表 寺島 能史

所属 司法書士法人みどり法務事務所 東京司法書士会 会員番号 第6475号 認定番号 第901173号 資格 司法書士

関連記事

人気記事

新着記事

関連記事

人気記事

新着記事

PAGE TOP