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相続税は相続財産いくらからかかる?生前に対策はできる?

2022.09.02 税金対策 相続税は相続財産いくらからかかる?生前に対策はできる?

この記事を監修したのは、

天満 亮

所属 税理士法人ブライト相続 資格 税理士、行政書士

会計事務所勤務(約8年)、相続専門の税理士法人勤務(約7年)、相続専門の税理士法人設立(2019年~)

「相続税は相続財産いくらからかかる?」
「相続税がたくさんかかったという人が周りにいるけど、自分はどれくらいかかるのだろうか?」

相続税は、相続財産がどれくらいか把握できていれば事前に計算することも可能です。事前に知っていれば、相続税を圧縮するための対策もできるかもしれません。

この記事では、相続財産いくらから相続税がかかるのか、相続税を軽減することができるかについて説明します。

相続税とは?

まず、相続税とは何かについて説明します。

相続財産にかかる税金

相続税は、相続財産にかかる税金です。相続により、財産を引き継いだ人が支払います。全ての相続で相続税がかかるわけではありません。相続税には基礎控除があり、課税対象となる相続財産が基礎控除を超える場合にのみ相続税が発生します。相続税の税率は10%~55%の累進課税で、課税対象の相続財産が多いほど相続税の負担が増えます。

2015年より相続税を支払う人は増えている

2013年度税制改正により、2015年1月1日から相続税の基礎控除額の算出方法に変更があり、相続税を支払う人が増えています。

それまで、相続税の基礎控除を求める計算式は。【5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)】でした。2015年1月1日からは【3,000万円×(600万円×法定相続人の人数)】となり、基礎控除の額は大幅に下がりました。その結果、改正前は相続税の対象者ではなかった人も相続税の対象となり、相続税を支払う対象者が増えているのです。

相続税の計算方法

相続税の計算をするためには、まず法定相続人を確定させて基礎控除の金額を計算します。相続財産にはプラスの財産、みなし財産、マイナスの財産がありますが、全てを合わせてプラスの財産が基礎控除を超える場合に相続税を支払う必要があります。

相続税の支払いが必要な場合、まず課税対象の相続財産を法定相続割合で分けたと仮定して分けます。次に、それぞれの法定相続分に相続税率をかけて相続税を計算します。その後、全員の相続税を足して、実際に相続する割合で相続税を分けます。

生前にできる相続税対策

相続税を節税したいなら、生前に対策することにより圧縮できる可能性があります。ここでは、生前にできる相続税対策について説明します。

暦年贈与

贈与すると贈与税がかかりますが、受贈人一人に対して年間110万円までの範囲であれば贈与税がかからず贈与ができます。これを暦年贈与といいます。

子供や孫に何年にも分けて贈与を連続して行えば、非課税の枠を使いながら相続財産を圧縮できるのです。例えば、孫が4人いてそれぞれに100万円を10年間にわたり贈与すれば、4,000万円分の相続財産を圧縮できます。

贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

贈与税の配偶者控除は、婚姻歴20年以上の夫婦の間で居住用の不動産を贈与する場合、2,000万円まで非課税で贈与ができる制度です。不動産を贈与するときだけではなく、不動産を購入する資金の贈与でも適用できます。

結婚・子育て資金の一括贈与

結婚・子育て資金に充てる資金を父母や祖父母から20歳以上50歳未満の子供に贈与する場合、1,000万円までなら非課税になります。

教育資金の一括贈与

教育資金に充てるため、父母や祖父母から30歳未満の子供や孫に教育資金を贈与する場合、1,500万円まで非課税で贈与できます。

生命保険の非課税枠活用

生命保険は、【500万円×法定相続人の人数】は非課税となり、相続財産として課税されません。例えば、法定相続人が4人いる場合、法定相続人を受取人とすれば2,000万円は非課税となります。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、要件に当てはまれば土地の価格を最大80%減額して相続税を計算できる制度です。例えば、土地の相続税評価額が6,000万円で80%の減額要件を満たしていれば、不動産評価額を1,200万円として計算できます。

相続税精算課税制度

相続税精算課税制度とは、60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に贈与をする場合、2,500万円の範囲であれば非課税で贈与ができ、2,500万円を超える部分については一律20%の贈与税となる制度です。相続が発生したときには相続財産に足し合わせて相続税が発生しますが、贈与時の時価額で計算されるのがポイントです。

例えば、将来的に価値が上がりそうな不動産などを保有している場合、相続発生時に相続税の計算をするより税金が低くなる可能性があるのです。しかし、相続財産の価値が贈与時より下がれば、相続発生時で計算したほうが得をする可能性もあるので、確実に得をする制度とはいえない点に注意しましょう。

また、相続税精算課税制度を利用すると暦年贈与の利用はできなくなります。そのため、どちらが得なのかを考えて利用してください。

相続税に関する注意点

相続税に関する注意点についても説明します。

一次相続より二次相続でかかる可能性も

一次相続は、両親のどちらかが亡くなり相続人が配偶者と子供になることです。二次相続は、一次相続で遺産を引き継いだ親が亡くなり、子供がその相続を引き継ぐことです。

相続では、配偶者の基礎控除があり、相続財産1億6,000万円以下または法定相続分の範囲は非課税になります。そのため、一次相続で配偶者に相続してしまうケースも多いですが、一次相続より二次相続のほうが基礎控除を計算する法定相続人の人数が少なくなるので注意が必要です。相続税を抑えるためには、相続全体を見る必要があります。

相続時精算課税を利用した場合相続税が発生

相続時精算課税制度を利用すると、贈与時には贈与税は発生しませんが相続時に相続税が発生します。忘れないようにしましょう。

死亡前3年間の贈与は相続税の対象

死亡前に急いで暦年贈与をしようと考えるかもしれませんが、死亡前3年間の贈与は相続税の対象となり、相続財産に足し合わせて計算します。

ただし、贈与税の配偶者控除、結婚・子育て資金の一括贈与、教育資金の一括贈与などは、死亡日前3年間の贈与でも相続税に加算されません。

納付期限に遅れると延滞税が加算される

相続税の納付期限は、被相続人が亡くなった日の翌日から10カ月以内です。それまでに申告・納付をしなければ、延滞税が加算されるので注意しましょう。

延滞税は、2段階で加算されます。法定納期限から2カ月以内の延滞税は7.3%と「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合、2カ月を超えると14.6%と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合かかります。

特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を、12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。納付期限に遅れると、本来支払わなくても良い税金がどんどん増えるので、期限内に支払うようにしましょう。

まとめ

財産にはプラスの財産、みなし財産、マイナス財産があるので、合算して基礎控除額を超える場合に相続税が発生します。累進課税なので、相続財産が多いほど相続税が増えます。

相続税は、相続が発生した後に圧縮することが難しいです。しかし、生前贈与の対策をすると相続財産を圧縮して相続税を減らすことができます。暦年贈与・贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)・結婚・子育て資金の一括贈与などの制度が使える場合は利用してみると良いでしょう。

ただし、死亡前3年間の生前贈与は相続税の対象になります。そのため、生前贈与は被相続人となる人が元気なうちから、計画的に始めておきましょう。

相続税の支払いは、被相続人が亡くなったとした日の翌日から10カ月以内です。遅れると延滞税を支払う必要があるので、期限内に間に合うように準備しましょう。

この記事を監修したのは、

天満 亮

所属 税理士法人ブライト相続 資格 税理士、行政書士

会計事務所勤務(約8年)、相続専門の税理士法人勤務(約7年)、相続専門の税理士法人設立(2019年~)

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