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贈与税の税率は?特例を使えば非課税になるって本当?

2022.10.07 税金対策 贈与税の税率は?特例を使えば非課税になるって本当?

この記事を監修したのは、

天満 亮

所属 税理士法人ブライト相続 資格 税理士、行政書士

会計事務所勤務(約8年)、相続専門の税理士法人勤務(約7年)、相続専門の税理士法人設立(2019年~)

「贈与税の税率はどのくらい?」
「生前贈与をした方が得するって本当?」

相続財産が多く、相続税の支払いに不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。生前贈与をされると金額によっては贈与税がかかりますが、特例を使えば非課税で贈与できます。そのため、被相続人となる人が存命のうちに対策をするのがおすすめです。

今回の記事では、贈与税の税率、計算方法、生前贈与が非課税になる特例についてお伝えします。

贈与税とは?

贈与税とは、個人が贈与したときにかかる税金のことで、贈与を受けた受贈者が支払います。贈与税は累進課税で、贈与された金額が大きくなるほど税率が大きくなります。

また、贈与税には暦年課税制度が適用されており、1年間(1月1日~12月31日)で贈与を受けた金額が110万円以下なら贈与税の申告は必要ありません。

もし、父から100万円、母から100万円の贈与を受けた場合は、受贈者から見ると1年間で200万円の贈与を受けたことになるので、110万円超となり、申告と納税が必要です。

贈与税の税率

贈与税の税率は、一般贈与財産か特例贈与財産かにより税率が異なります。誰に贈与するかで、適用される税率が変わるので注意しましょう。

一般贈与財産の税率

一般贈与財産の税率は、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子(未成年者)への贈与、などの場合に適用されます。また、家族間以外の贈与も一般贈与財産の税率を使います。

基礎控除後の課税価格200万円以下300万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下3,000万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円

なお、令和4年4月1日より、成人の年齢が20歳から18歳に下がります。それに伴い18歳以上は、有利な特例贈与財産の税率を使うことができるので注意しましょう。

特例贈与財産の税率

特例贈与財産の税率は、祖父母から(成人の)孫への贈与、親から(成人の)子への贈与などに使用します。一般贈与財産の税率の方が、特例贈与財産の税率より高く設定されています。直系尊属(祖父母、親)からの贈与の方が、税率が優遇されているということです。

基礎控除後の課税価格200万円以下400万円以下600万円以下1,000万円以下1,500万円以下3,000万円以下4,500万円以下4,500万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円30万円90万円190万円265万円415万円640万円

出典:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)

贈与税の計算例

贈与税の計算式は、下記のとおりです。

【〔贈与額-基礎控除(1,100,000円)〕×税率-控除額】

ここでは、30,000,000円の贈与が行われたケースについて、一般贈与財産の税率と特例贈与財産の税率の2つの例で紹介します。

一般贈与財産の税率

(30,000,000円-1,100,000円)×50%-2,500,000円=11,950,000円

特例贈与財産の税率

(30,000,000円-1,100,000円)×45%-2,650,000円=10,355,000円

このように、同じ金額の贈与でも一般贈与財産か特例贈与財産かで、約160万円の差があります。

贈与税の特例

贈与税には特例があり、利用すると非課税で贈与できるケースがあります。

ここでは、贈与税の特例について説明します。

住宅取得等資金の特例

住宅取得等資金の特例とは、祖父母や両親などから成人している子供や孫へ、住宅の新築または取得、増改築のための費用を贈与されたときに、条件を満たせば一定額まで非課税になる制度です。

この特例は、本来2021年12月31日まででしたが、2023年12月31日まで延長されました。延長に伴い、それまでは非課税枠は最大1,500万円だったものが1,000万円に変更になっています。また、成人年齢の変更に伴い、贈与を受けた年の1月1日現在で「18歳以上」が対象となりました。

結婚・子育て資金の一括贈与

結婚・子育て資金の一括贈与は、2023年3月31日までの間に18歳以上50歳未満の方が、祖父母や両親から結婚・子育て資金を一括で受け取る場合に利用できる制度です。贈与額1,000万円までは非課税で受け取ることができます。この制度を利用するためには、金融機関との契約が必要です。

教育資金の一括贈与

教育資金の一括贈与は、2023年3月31日までの間に30歳未満の方が祖父母や両親から教育資金を一括で受け取る場合に利用できる制度です。非課税枠の上限金額は、1,500万円です。金融機関と契約を結び、教育資金の支払いがある都度で払い戻しを依頼します。

出典:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)

贈与税に関する注意点

贈与者が存命のうちになるべく非課税で受贈しようと考えるかもしれませんが、死亡前3年間は生前贈与加算されて相続税の対象となります。そのため、暦年贈与として非課税で贈与した分も、相続財産として計算するので注意が必要です。暦年贈与で相続財産を圧縮したいのであれば、なるべく早めに始めるのをおすすめします。

ただし、特例を利用し、非課税の適用となった住宅取得等資金、教育資金、結婚・子育て資金に関しては ※配偶者への住宅取得資金贈与の話は出てきてないので(もし配偶者の税額控除の話だとしても贈与とは関係ない)、死亡前3年以内も非課税となります。

出典:国税庁「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税

まとめ

贈与税は、誰に贈与するかで税率が異なり、税率は2種類です。受贈者1人に対し、基礎控除の110万円までは非課税で贈与できます。計画的に贈与を進めて相続財産を圧縮することで、相続税の支払いを軽減できる可能性があります。また、非課税になる特例もあるので、上手く使えるものがないかを考えるといいでしょう。

ただし、死亡前3年間の贈与は相続税の対象として加算されます。暦年贈与の非課税110万円の範囲で贈与していても、相続税の対象となって加算されるので注意しましょう。

この記事を監修したのは、

天満 亮

所属 税理士法人ブライト相続 資格 税理士、行政書士

会計事務所勤務(約8年)、相続専門の税理士法人勤務(約7年)、相続専門の税理士法人設立(2019年~)

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