相続放棄申述書の書き方は?作成時の注意点なども確認しておこう
2023.04.19 遺産相続親の借金を相続したくない、価値のない不動産を相続したくない、このような場合、相続放棄により財産の相続権を放棄することができます。
ただ、相続放棄は裁判所で行う手続きであるため、どのように相続放棄を行えばいいか分からない、という方がいるかもしれません。
本記事では、相続放棄の流れや相続放棄で必要な書類の作成方法などを解説するので、相続放棄についてお悩みの方は参考にしてください。
目次
1.相続放棄申述書の作成から受理までの流れ
まずは、相続放棄の大まかな流れを説明します。個々の手続きの詳しい内容を後述します。
① | ② | ③ | ④ | |||
期限を確認する | → | 必要書類をそろえる | → | 裁判所に書類一式を提出する | → | 相続放棄が受理される |
※場合によっては、裁判所に書類を提出した後(③と④の間)、裁判所から相続放棄照会書または相続放棄回答書という書類の記載を求められます。
2.相相続放棄申述書の作成に必要な書類と費用
① 亡くなった方と相続放棄をする人の親族関係により必要な書類は変わりますが、最低限、以下の書類が必要になります。
※戸籍謄本類は発行から3カ月以内である必要があります
書類 | 費用 |
相続放棄申述書 | 800円(収入印紙) |
相続放棄をする人の戸籍謄本 | 450円 |
亡くなった方の除籍謄本 | 750円 |
亡くなった方の住民票の除票 | 300円 |
②相続放棄をする人が亡くなった方の孫や兄弟であるなど個別のケースでは次の書類が追加で必要になります。
なお、共通する書類は1通で大丈夫です。
・相続放棄をする人が孫の場合(代襲相続)
孫の親(本来の相続人)の死亡が分かる戸籍謄本
・相続放棄をする人が第2・3順位相続人の場合
亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
先順位相続人の死亡が分かる戸籍謄本
相続放棄をする人が、亡くなった方の甥・姪の場合は、甥・姪の親の死亡が分かる戸籍謄本
3.相続放棄申述書の書き方
必要書類の項目で挙げた「相続放棄申述書」の書き方を順に説明していきます。
書類のひな形は以下の裁判所のHPに公開されているので、こちらを使用しましょう。
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/2019_souzokuhouki_m.pdf
1.収入印紙を貼る
「(この欄に収入印紙800円分を貼ってください)」という記載がある欄に、800円分の収入印紙を貼ります。
2.家庭裁判所と年月日
「申述人の記名押印」の左の欄に、書類を提出する家庭裁判所と書類の作成年月日を記載します。
なお、裁判所は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
3.署名・捺印をする
「申述人の記名押印」の欄に申述人の署名捺印をします。
相続放棄をする人が未成年の場合、法定代理人の署名捺印をしてください。
4「添付書類」欄の内容に応じてチェックを入れる
5「申述人」欄を記入する
「申述人」の欄に、相続放棄をする人の本籍・住所・氏名・亡くなった方との関係を記載します。
6「法定代理人等」欄を記入する
相続放棄をする人が未成年であれば、法定代理人の住所・氏名を記載します。
7「申述の理由」欄を記入する
2ページ目の「申述の理由」の欄に、相続放棄をする理由と相続財産(負債を含む)を記載します。
相続放棄をする理由はあらかじめ選択肢があるので、該当するものに〇を付けます。
※相続放棄申述書を提出した後、裁判所から相続放棄照会書または相続放棄回答書、という書類が送付される場合があります。
これは、裁判所が相続放棄をする人に対して、本当に相続放棄をする意思があるか確認するためのものです。
これらの書類には回答期限があるため、裁判所から書類が届いたらすぐに返答をしてください。返送期限を過ぎると相続放棄が認められないこともあります。
4.相続放棄申述書を作成するときの注意点
最後に、相続放棄をする際の注意点を説明します。
相続放棄は撤回できない
相続放棄が認められると撤回することはできません。
相続放棄が認められれば相続財産の相続権は失われますが、これはプラスの財産も含めて権利を失うことになります。本当に相続放棄をすべきかどうか、十分に検討する必要があります。
なお、相続放棄の撤回はできませんが、取消は例外的に認められることがあります。
相続放棄の取り消しは、未成年が単独で手続きをした、錯誤があった、詐欺・強迫により相続放棄をした、といったケースです。
ただし、こういった事情があっても、十分な立証や証拠がなければ取消は困難なので、相続放棄の取消しの手続きを行いたい場合は、専門家に相談してください。
申し立て3ヶ月の期限を超えている場合は説明が必要
相続放棄は、原則として相続があったことを知ってから3カ月以内に申請しなければなりません。この期限を過ぎて相続放棄をする場合は、裁判所に十分な説明が必要です。
また、期限経過後に相続放棄をするだけの事情が必要です。例として
- 3カ月経過した後に、相続財産の調査時に判明しなかった多額の負債が見つかった
- 親と疎遠で、親の死亡から3カ月経過した後に相続財産の有無を知った
といった事情が必要です。
こういった事情があっても、裁判所に十分な説明をしなければ相続放棄は認められないため、3カ月経過した後に相続放棄をする場合は、事前に専門家に相談をしてください。
財産の処分をすると相続放棄はできない
相続財産を一部でも処分すると、民法上、相続を承認したとみなされるため、相続放棄ができなくなります。財産を処分するのは、相続財産の調査を行い、相続放棄をするか検討した後にしましょう。
5.まとめ
以上が相続放棄の流れ、相続放棄申述書の作成の概要です。
相続放棄が認められるためには、その理由・必要性を相続放棄申述書で裁判所に説明しなければなりません。特に3カ月経過した後に相続放棄を行おうとする場合は、期限を経過してもなお相続放棄をする理由が必要となります。
不十分な書類の記載で相続放棄が不受理になれば、価値のない不動産・多額の負債を相続することになりかねません。書類の作成に不安がある場合は、司法書士などの専門家に相談してください。
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