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代襲相続とは?対象になる家族はどこまで?仕組みや相続放棄との関係を解説!

2023.03.30 遺産相続 代襲相続とは?対象になる家族はどこまで?仕組みや相続放棄との関係を解説!

この記事を監修したのは、

辻本 歩

所属 司法書士法人みどり法務事務所 愛媛県司法書士会 会員番号 第655号 認定番号 第1212048号 資格 司法書士

代襲相続とは、本来の相続人に代わって別の人が遺産を受け継ぐ相続のことです。相続が起きたときの状況によっては、本来の相続人ではなく代襲相続人が遺産を相続します。

相続人になる人は誰なのか、遺産の相続権がある家族の範囲はどこまでなのか、勘違いをすると相続が起きたときに困る場合やトラブルになる場合があるので、相続関係について正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、代襲相続が起きる具体的なケースや代襲相続人になる人の範囲、代襲相続人の権利割合や代襲相続と相続放棄の関係について解説します。

代襲相続とは

代襲相続とは、ある人が亡くなって相続が起きた際、本来相続人となる人がすでに亡くなっている場合などに、本来の相続人の子などが代わりに遺産を相続することです。代襲相続の読み方は「だいしゅうそうぞく」で、代襲相続で相続人になる人を代襲相続人と言います。

まず、相続が起きたときに誰が相続人になるのか、法律で定められている基本的なルールは以下のとおりです。

【法定相続人の範囲】

・ 配偶者がいれば配偶者は必ず相続人になる

・ 子、親、兄弟姉妹の間では相続人になる順位が決まっている

-第一順位:子

-第二順位:親

-第三順位:兄弟姉妹

子・親・兄弟姉妹の間では相続人になる順位があり、順位が上の人がいればその人が相続人になります。

例えば、子と親がいる場合、子は相続人ですが親は相続人になりません。

一方で、相続開始時点で第一順位の子がおらず第二順位の親が存命なら親が相続人です。

しかし、子はすでに亡くなっているものの、その子、つまり孫がいる場合は、本来の相続人である子の代わりに孫が代襲相続で相続人になるので、親が存命でも第二順位の親ではなく第一順位の孫が相続人になります。

代襲相続が起きるかどうかによって、相続人になる人や権利関係が変わるので注意が必要です。

代襲相続が起きる場合

代襲相続が起きるのは、死亡・相続欠格・相続人廃除の3つです。

以下では、それぞれのケースについて解説します。

相続人が死亡している場合

家族が亡くなって相続が起きたとき、本来相続人になる人が亡くなっていても、その人に子がいれば代襲相続によってその子が代襲相続人になります。

相続人である子が亡くなっていても、その子(孫)がいれば孫が代襲相続人、また相続人である兄弟姉妹が亡くなっていても、その子(甥・姪)がいれば甥・姪が代襲相続人です。

相続人が相続欠格に該当する場合

相続欠格とは、民法で定められた欠格事由に相続人が該当する場合、その相続人の相続権をはく奪することです。

被相続人を故意に死亡させた場合や詐欺または強迫によって遺言書を書かせた場合などには、その人は「相続人となることができない」と民法で規定されています。欠格事由に該当すれば当然に相続権を失うので、相続権を失わせるための手続きは特に必要ありません。

相続欠格によって本来の相続人が相続権を失った場合、本来の相続人に子がいれば代襲相続によって子が相続人になります。

相続人が廃除された場合

相続人の廃除とは、相続人にあまりにも問題がある場合に相続権を失わせることができる制度です。

推定相続人が被相続人に対して虐待をしたり重大な侮辱を加えたりした場合、また推定相続人に著しい非行があった場合、被相続人がその推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求して認められれば相続権は失われます。

相続人の廃除によって本来の相続人が相続権を失った場合、本来の相続人に子がいれば代襲相続によって子が相続人になります。

代襲相続人になる人の範囲

代襲相続が起きると本来の相続人に代わって子が代襲相続人になりますが、どこまで代襲相続が起きるのか、代襲相続人になる人の範囲はケースによって異なります。

代襲相続に関して、本来の相続人が「子の場合」「兄弟姉妹の場合」「養子の場合」では異なる点があるので注意が必要です。

子が相続人の場合

本来の相続人が子の場合、代襲相続が起きる範囲に制限はありません。子が亡くなっていて孫がいれば孫が代襲相続人になり、孫が亡くなっていて曾孫がいれば曾孫が代襲相続人になります。

兄弟姉妹が相続人の場合

本来の相続人が兄弟姉妹の場合、代襲相続が起きるのは一世代限りです。兄弟姉妹の子である甥や姪は代襲相続人になりますが、甥や姪が亡くなっていた場合、その子がいても代襲相続は起きないので子は相続人にはなりません。

養子が相続人の場合

本来の相続人が養子の場合、養子の子が代襲相続人になるかどうかは養子の子が生まれた日と養子縁組の日の前後関係で変わります。養子縁組の日以降に生まれた子の場合は代襲相続人になりますが、養子縁組より前に生まれた子は代襲相続人になりません。

代襲相続人の権利割合

遺産のうち、どれだけの割合を相続する権利があるのか、各相続人の権利割合が法律で決まっています。相続に関しておさえておくべき権利割合は、法定相続分と遺留分の2つです。

以下では、代襲相続人の法定相続分と遺留分について解説します。

法定相続分

法定相続分とは、それぞれの相続人がどれだけの割合の遺産を相続する権利があるのか目安となる割合です。

代襲相続人の法定相続分は、本来の相続人の法定相続分と同じです。

相続人

法定相続分

配偶者のみ

全遺産

配偶者と子

配偶者:2分の1、子:2分の1

子のみ

全遺産

配偶者と親

配偶者:3分の2、親:3分の1

親のみ

全遺産

配偶者と兄弟姉妹

配偶者:4分の3、兄弟姉妹:4分の1

兄弟姉妹のみ

全遺産

代襲相続人になる人が2人以上いる場合は、法定相続分を均等に割った割合が各代襲相続人の法定相続分です。

例えば、配偶者と代襲相続人である孫2人が遺産を相続する場合、孫2人で法定相続分は2分の1なので孫1人あたりの法定相続分は4分の1と計算できます。

遺留分

遺留分とは、一定割合の遺産を最低限相続できるように相続人に認められている権利です。兄弟姉妹に遺留分はありませんが、配偶者・親・子には遺留分が認められています。代襲相続人の遺留分は本来の相続人の遺留分と同じです。

相続人

遺留分

配偶者のみ

2分の1

配偶者と子

配偶者:4分の1、子:4分の1

子のみ

2分の1

配偶者と親

配偶者:3分の1、親:6分の1

親のみ

3分の1

配偶者と兄弟姉妹

配偶者:2分の1、兄弟姉妹:なし

兄弟姉妹のみ

なし

代襲相続人になる人が2人以上いる場合は、遺留分を均等に割った割合が各代襲相続人の遺留分です。

例えば、配偶者と代襲相続人である孫2人が遺産を相続する場合、孫2人で遺留分は4分の1なので孫1人あたりの遺留分は8分の1と計算できます。

また本来の相続人が兄弟姉妹の場合は、そもそも兄弟姉妹に遺留分がないため甥・姪が代襲相続人になっても遺留分はありません。

代襲相続はトラブルになりやすい?

代襲相続によって後の世代の人が相続人になる場合、他の相続人とは面識がない場合や面識はあっても関係が疎遠な場合が少なくありません。お互いによく知らない者同士だと話し合いがうまくいかず、遺産分割協議で揉めたりトラブルになったりする場合があります。

相続開始後のトラブルを回避するためには、財産を残す側が生前に遺言書を作成して遺産の分け方を決めておくほうが良いでしょう。遺言で遺産の分割方法を指定すれば、相続人で遺産の分け方を話し合う遺産分割協議を行う必要がなくなり、揉める余地がなくなります。

代襲相続に関するその他のポイント

最後に、代襲相続に関するその他のポイントを紹介します。

相続放棄をしたら代襲相続は起きる?

本来の相続人が相続放棄をした場合、その人に子がいても代襲相続は起きません。

例えば、子が相続放棄をした場合、子の子(孫)は代襲相続人にはならず、親がいれば親が相続人に、親がおらず兄弟姉妹がいれば兄弟姉妹が相続人になります。

相続放棄とは、相続人が遺産の相続権を放棄することで、相続の開始を知ってから3ヵ月以内に家庭裁判所で手続きをすれば相続放棄が可能です。遺産に借金が含まれる場合や遺産を相続しても使い道がなく困る場合などに、相続放棄を検討することになります。

代襲相続人になるために手続きは必要?

代襲相続人になるための手続きは必要ありません。

本来の相続人の死亡や相続欠格、相続人の廃除によってその子が代襲相続人に該当する場合、代襲相続人である子に当然遺産の相続権が発生します。

逆に言えば、代襲相続人に該当すると遺産を相続してしまうので、相続したくない場合には相続放棄の手続きが必要です。相続放棄の手続きは相続があったことを知ってから3ヵ月以内にする必要があり、3ヵ月を過ぎると原則として相続放棄はできなくなります。

代襲相続人が行方不明なら無視して手続きを進めて良い?

遺産分割協議は、すべての相続人が参加して行う必要があります。相続人や代襲相続人と連絡が取れない場合でも、無視して進めてはいけません。

対象者が1人でも欠けた状態で行った遺産分割協議は無効です。代襲相続人の所在が分からない場合には、不在者財産管理人の選任か失踪宣告の手続きを行うことになります。

まとめ

相続開始時点で本来の相続人が亡くなっている場合、その子が代襲相続人になって遺産を相続する場合があります。誰が相続人になって遺産を相続するのか、相続では権利関係を正しく把握することが重要であり、代襲相続についても正しく理解しておくことが大切です。

将来の相続に備えて生前対策をする場合や、実際に相続が起きて手続きを進める場合、相続に関するさまざまな知識が必要になります。相続に関することでお困りの方は、司法書士法人みどり法務事務所にご相談ください。当事務所では、定額の相続登記代行サービス「スマそう-相続登記-」をはじめとする相続に関する各種サポートを行っています。

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