法定相続情報制度の役割はなに?制度の概要や交付までの手続きの流れを解説
2023.03.30 遺産相続平成29年5月29日から、「法定相続情報証明制度」が開始されました。これにより、相続手続きにおける戸籍等の書類収集手続きを簡略化することができるようになりました。
本記事では、この法定相続情報証明制度の概要や手続きの流れを解説していきます。
目次
法定相続情報証明制度とは?
相続手続きを簡略化できる制度
法定相続情報証明制度とは、法務局に法定相続情報一覧図という書類を提出することにより、それ以降は戸籍謄本等の相続関係を証明する書類を集める必要がなくなる、という制度です。
本来、相続手続きでは、法務局、銀行、証券会社、裁判所などの各種窓口に相続関係を証明するための戸籍謄本等の束を提出する必要があり、準備する相続人側と書類を精査する担当部署双方に負担がかかりました。
これに対し法定相続情報証明制度を利用すれば、法務局から交付される認証文が付いた法定相続情報一覧図により相続関係を証明できるため、書類の収集は一度だけで済みます。
法定相続情報証明制度の目的
不動産の所有者が死亡した場合は相続登記をする必要がありますが、これが行われず所有者が不明となった土地・空き家の増加が社会問題となっています。
これには相続手続きの煩雑さが一端となっていたため、法定相続情報証明制度により手続きを簡略化し、相続人側・手続きの担当部署双方の負担を軽減して手続きを促す制度趣旨です。
法定相続情報証明制度の役割
相続人が誰なのかを証明できる
詳しい手続きの流れは後述しますが、法定相続情報証明制度では、相続関係を表した法定相続情報一覧図を法務局に提出すれば、認証文が付された法定相続情報一覧図の写しを交付してもらえます。
認証文により、法定相続情報一覧図の内容が間違いないことが法務局により認められたことになるため、一覧図単体で相続関係を公的に証明できるようになります。
戸籍を一覧図の写しで代用できる
法務局から交付される法定相続情報一覧図により相続関係を証明できるため、従来の相続手続きで必要であった戸籍謄本の束の代わりに法定相続情報一覧図を提出すればよくなりました。
法定相続情報一覧図は、基本的にA4サイズの用紙一枚であるため、戸籍謄本の束に比べれば用意・確認の手間が大幅に削減されます。
相法定相続情報証明制度を利用する流れ
①必要書類を集める
相続人を確定させるため、まずは戸籍謄本等の必要書類を収集します。収集先は役所で、遠方であっても送料はかかりますが郵便により取得できます。
必要書類
書類名 | 1通当たりの手数料 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および除籍謄本 | 戸籍謄本は450円 除籍謄本は750円 |
被相続人の住民票除票または本籍地が記載された戸籍の附票 | 300円 |
相続人の戸籍謄本 | 450円 |
相続人の住民票 | 300円 |
②法定相続情報一覧図を作成する
相続人を確定させたら、その相続関係を表した法定相続情報一覧図を作成します。
以下が法定相続情報一覧図の作成例です。相続関係が複雑でない限り、A4用紙一枚に収まるように記載し、またパソコン・手書きのどちらでも可能です。
その他の記載例は、法務局のHPに載っているので参考にすると良いでしょう。
法務局:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html
法定相続情報一覧図 作成例
③申出書を記入し、登記所で申し出をする
申出書に記入し、収集した戸籍謄本等と作成した法定相続情報一覧図を添付して法務局に提出します。提出は郵送でも可能で、その場合は返信用の封筒と切手を同封する必要があります。
申出書の様式と記載例は、以下の法務局のHPを参考にしましょう。
法務局:https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000412.pdf
また、提出先は以下の地を管轄するいずれかの法務局の中から選択可能です。
- 被相続人の死亡時の本籍地
- 被相続人の最後の住所地
- 申出人の住所地
- 被相続人名義の不動産の所在地
④法定相続情報一覧図の写しの交付を受ける
申出書等を提出後、登記官による確認が行われ、問題がなければ認証文が付された法定相続情報一覧図の写しが交付、提出した戸籍謄本等が返却されます。
以降は、交付された認証文付きの法定相続情報一覧図が戸籍謄本等の代わりとなるため、相続登記や銀行などで相続手続きを行う際、相続関係の証明には一覧図のみで足りるようになります。
また、追加で法定相続情報一覧図が必要になった場合は、申出から5年以内であれば、申出人となった人が再交付を受けられます。
まとめ
以上が、法定相続情報証明制度の概要です。
本制度は、相続手続きの簡略化を狙いとしものですが、法定相続情報一覧図を作成するうえで一度は戸籍謄本等を収集する必要があり、相続関係が複雑な場合は専門知識が必要になることがあります。
法定相続情報一覧図の作成方法や戸籍収集にお悩みの点があれば、一度司法書士にご相談ください。
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