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相続で不動産取得税はかかる?かからない?税金の計算方法を紹介

2023.10.17 税金対策 相続で不動産取得税はかかる?かからない?税金の計算方法を紹介

この記事を監修したのは、

天満 亮

所属 税理士法人ブライト相続 資格 税理士、行政書士

会計事務所勤務(約8年)、相続専門の税理士法人勤務(約7年)、相続専門の税理士法人設立(2019年~)

相続が起きたとき、遺産に土地や家が含まれると不動産取得税がかかる場合とかからない場合があります。相続に伴って税金がかかるケースでは、遺産に十分な額の現預金が含まれないと財産を受け継ぐ人が納税資金を自分で準備しなければいけないケースもあるので注意が必要です。

この記事では相続と不動産取得税の関係や税額の計算方法、不動産の相続に伴って不動産取得税以外にかかる税金(相続税・登録免許税)について解説します。

不動産取得税とは

不動産取得税とは、文字通り不動産を取得した人に課される税金です。

土地や家屋といった不動産を購入や贈与等で取得すると不動産取得税が課されます。有償・無償の別や登記の有無は関係ありません。

不動産を取得したら不動産の所在地の都道府県税事務所に不動産取得申告書を提出して、納期までに不動産取得税を納付します。不動産取得税の納期は自治体によって異なる場合があるので、不動産を取得する場合は不動産の所在地の自治体に確認が必要です。

相続では原則として不動産取得税はかからない

不動産を取得すれば不動産取得税が課されるのが基本ですが、相続では原則として不動産取得税はかかりません。

土地や家屋の購入や贈与、家屋の建築などとは異なり、相続による不動産の取得は形式的な移転にすぎず、税金を課すべきケースとは言えないからです。

例外的に相続で不動産取得税がかかる場合がある

相続では原則として不動産取得税はかからないものの、「法定相続人以外への特定遺贈」と「死因贈与」の2つのケースでは、例外的に不動産取得税がかかります。

以下では、それぞれのケースについて紹介するので、該当する場合は不動産取得税の納付手続きを行うようにしてください。

法定相続人以外への特定遺贈

遺贈とは遺言によって財産を渡すことで、特定遺贈と包括遺贈の2種類の遺贈があります。

特定遺贈は渡す財産を特定して行う遺贈、包括遺贈とは渡す財産を特定せず渡す遺産の割合を指定する遺贈です。

遺贈で不動産を取得する場合、不動産取得税がかかる場合とかからない場合があります。具体的には、以下のとおりです。

 

遺贈で財産を渡す相手

相続人

相続人以外

特定遺贈

非課税

課税

包括遺贈

非課税

非課税

相続人が遺贈で不動産を受け継ぐ場合や相続人以外の人が包括遺贈で不動産を受け継ぐ場合、不動産取得税はかかりません。

しかし、相続人以外の人が特定遺贈で不動産を受け継ぐ場合は不動産取得税がかかります。

死因贈与

死因贈与とは、財産を贈与する人が亡くなったときに効力が生じる贈与です。

「私が亡くなったときに、不動産をあなたに贈与します」という内容で死因贈与契約を交わしておけば、贈与者が亡くなったときに不動産が受贈者に贈与されます。

ある人が不動産を受け継ぐ点では死因贈与も相続も同じですが、相続では不動産取得税がかからないのに対して、死因贈与では不動産取得税がかかる点が両者の違いです。

死因贈与は、生前に贈与契約を結ぶことで財産を確実に渡せる点がメリットですが、不動産に関しては死因贈与を選択すると相続に比べて一般的に税金が高くなります。

不動産取得税の計算方法

続いて、相続でかかる不動産取得税の計算方法を紹介します。以下で紹介する方法に沿って計算して、不動産取得税がいくらかかるのか確認してみてください。

不動産取得税は固定資産税評価額を使って計算する

不動産取得税は、以下の式で計算します。

  • 不動産取得税 = 課税標準額 × 税率

課税標準額とは税額計算の基礎となる不動産の価格のことで、原則として市区町村の固定資産課税台帳に登録されている価格です。売買価格や建築工事費などではありません。

税率は、土地や住宅用の建物を取得する場合は3%、住宅以外の建物を取得する場合は4%です。

取得する不動産の価格が2,000万円で税率3%であれば、60万円の不動産取得税がかかります。

軽減措置の対象なら不動産取得税が安くなる

不動産取得税には軽減措置があり、軽減措置の対象になれば税負担を軽減できます。

以下では、住宅を取得した場合と家屋を取得した場合のそれぞれについて適用できる軽減措置の要件や控除額を紹介します。

 

住宅を取得した場合

居住用の中古住宅を取得した場合、一定の要件に該当すると住宅の価格から控除額を引いたうえで税率を適用できます。控除額はその住宅が建てられた日によって変わり、最大で1,200万円です。

軽減措置の対象となるための主な要件は、床面積要件と耐震基準要件の2つです。床面積に関しては50㎡以上240㎡以下であることが要件で、耐震性に関しては以下のいずれかに該当する必要があります。

  • 昭和57年1月1日以降に新築されたものであること
  • 昭和56年12月31日以前に新築された住宅で、建築士等が行う耐震診断によって新耐震基準に適合していることの証明がされたもの

なお、新築住宅を取得する場合も不動産取得税の軽減措置があり、一定の要件を満たせば1,200万円(認定長期優良住宅の場合は1,300万円)を控除できます。

 

宅地を取得した場合

宅地を取得した場合、取得時期が2024年3月31日までであれば課税標準額が固定資産税評価額の2分の1に軽減されます。

また中古住宅用の宅地を取得した場合、その土地の上に建つ住宅が軽減措置の対象であるなど一定の要件に該当すると、以下のいずれか高い金額を税額から控除できます。

  • 45,000円
  • 土地1㎡当たりの価格 × 住宅の床面積の2倍(1戸当たり200㎡を限度) × 住宅の取得持分 × 3%

軽減措置の対象となるためには、以下のいずれかに該当する必要があります。

土地を先に取得した場合

土地を取得した人が当該土地の取得日から1年以内に
その土地上の中古住宅を取得している

中古住宅を先に取得した場合

中古住宅を取得した人が当該住宅を取得後1年以内に
その敷地を取得している

土地や家屋の相続でかかる税金

不動産の相続では、不動産取得税以外にも税金がかかります。土地や家屋を相続する場合は以下で紹介する税金についても確認し、税金がかかる場合は忘れずに納付手続きを行ってください。

相続税がかかる場合がある

相続税は、遺産を相続するときに課される税金です。遺産の総額が相続税の基礎控除額を上回ると、原則として相続税がかかります。

  • 相続税の基礎控除額 = 3,000万円+(600万円 × 法定相続人の数)

法定相続人とは、相続が起きたときに遺産を相続する人として法律で規定されている人のことです。家族の中で誰が法定相続人になるのかはケースによって異なりますが、亡くなった人の配偶者や子、兄弟姉妹などが法定相続人として遺産を相続します。

法定相続人が1人であれば基礎控除額は3,600万円、2人であれば4,200万円なので、相続する遺産の総額がこの金額以下であれば相続税はかかりません。逆に相続税がかかる場合、被相続人が亡くなったと知った日の翌日から10ヶ月以内に納付が必要です。

登録免許税がかかる

登録免許税とは不動産や船舶、航空機などの登記や登録等をするときにかかる税金です。土地や家屋などの不動産を相続する場合、その不動産の名義を被相続人から相続人に変更するため登記をする必要があり、その際に登録免許税を納付します。

登録免許税の税率は登記をする理由によって変わり、相続に伴って登記をする場合の税率は0.4%です。

  • 登録免許税 = 固定資産税評価額 × 税率4%

2,000万円の不動産を相続するケースであれば登録免許税は「2,000万円×0.4%」で8万円です。

まとめ

相続で不動産を取得する場合、原則として不動産取得税はかかりません。

ただし、法定相続人以外の人が特定遺贈で不動産を取得する場合や死因贈与によって不動産を取得する場合には、不動産取得税がかかります。不動産取得税は不動産の課税標準額をもとに計算し、税率は3%または4%です。

相続税や登録免許税、不動産取得税など、税金に関する知識をはじめとした相続では、専門的な知識が必要になります。将来の相続に備えた対策を検討する場合や相続が起きて手続きを行う場合は、弁護士や司法書士などの専門家への相談を検討してみてください。

司法書士法人みどり法務事務所では、定額の相続登記代行サービス「スマそう-相続登記-」をはじめとする相続に関する各種サポートを行っていますので、相続でお困りの方は当事務所にお気軽にご相談ください。

この記事を監修したのは、

天満 亮

所属 税理士法人ブライト相続 資格 税理士、行政書士

会計事務所勤務(約8年)、相続専門の税理士法人勤務(約7年)、相続専門の税理士法人設立(2019年~)

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