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生前対策で相続税を減らそう!おすすめの方法と注意点

2022.12.12 税金対策 生前対策で相続税を減らそう!おすすめの方法と注意点

この記事を監修したのは、

天満 亮

所属 税理士法人ブライト相続 資格 税理士、行政書士

会計事務所勤務(約8年)、相続専門の税理士法人勤務(約7年)、相続専門の税理士法人設立(2019年~)

将来相続が起きたときに家族が払う相続税は、生前対策をしておけば減らせる場合があります。遺産の中で相続税の支払いに充てる財産が減れば、その分だけ家族の手元に残る財産が増えるので、将来の相続に備えた生前対策は重要です。

この記事では、生前対策の具体的な方法や実際に生前対策をするときの注意点について解説します。

将来かかる相続税を減らせる?生前対策が重要な理由

相続税の仕組みをうまく活用して生前対策を行えば、将来相続が起きたときにかかる相続税を減らすことができます。相続税対策として生前対策をする場合、押さえておきたいポイントは主に2つです。

1.生前に財産を贈与すれば相続税の課税対象が減って節税になる

相続人である家族が遺産を相続する場合でも、遺産額が相続税の基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。遺産額が基礎控除額を超えそうであれば、生前対策によって遺産額を減らして基礎控除額以下にしておくことで相続税はかからずに済みます。

相続税の基礎控除額とは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算した金額です。

また、遺産額が基礎控除額を超える場合でも、生前に財産を贈与しておけば相続税の課税対象が減って節税になります。生前に贈与すると贈与税の課税対象になりますが、贈与税の非課税枠や特例制度を活用しながら贈与すれば贈与税を抑えられるので、贈与税も相続税の負担を軽減して財産を渡すことができます。

2.生前に財産を組み替えておけば相続税が安くなる場合がある

相続税を計算する際、相続する財産の種類によって計算方法が異なる場合があります。そのため、生前に財産を組み替えて相続税の特例制度の対象になる財産にした上で相続するようにすれば、相続税が安くなるのです。

詳しい内容は後述しますが、現金ではなく死亡保険金や墓地・墓石、土地で相続するような生前対策も方法の1つとして挙げられます。

相続税を減らすための生前対策10選

続いて、相続税対策をするときの具体的な方法を紹介します。生前対策を検討している方は、実際にご自身でできる方法がないか確認してみてください。

1.毎年110万円以内で贈与する

1年間の贈与額が110万円以内であれば、贈与税はかかりません。毎年110万円以内の財産を贈与すれば、贈与税をかけずに遺産を減らせて相続税の課税対象を減らすことができます。

贈与を受ける人、1人につき110万円まで非課税になるので、例えば子3人に現金を贈与するなら年間330万円の贈与まで贈与税はかかりません。10年間続ければ3,300万円、20年間続ければ6,600万円も相続税の課税対象を減らせます。

2.住宅資金の贈与の特例制度を使う

子や孫が住居の新築や購入でお金を必要としている場合、住宅取得等資金の贈与の非課税制度を使って贈与すれば、一定額まで贈与税がかかりません。

省エネ等住宅の場合には1,000万円まで、それ以外の住宅の場合には500万円まで贈与税が非課税になります。制度を使える人の主な条件は以下のとおりです。

  • 直系尊属(父母や祖父母など)から直系卑属(子や孫など)への贈与である
  • 受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上である
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて、住宅用家屋を新築等にする

3.教育資金の贈与の特例制度を使う

子や孫が教育資金としてお金を必要としている場合、教育資金の贈与の非課税制度を使って贈与すれば、学校等に支払う金銭は1,500万円まで、それ以外の金銭は500万円まで贈与税がかかりません。

制度を使えるのは、直系尊属(父母や祖父母など)から30歳未満の直系卑属(子や孫など)へ資金を贈与する場合です。次のような費用に充てるための資金贈与が特例の対象になります。

  • 学校に払う入学金や授業料、保育園に払う入園料や保育料
  • 学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校における教育に伴って必要な費用
  • 学習塾や水泳教室に子を通わせるときにかかる費用

4.結婚・子育て資金の贈与の特例制度を使う

子や孫が結婚資金や子育て資金としてお金を必要としていたら、結婚・子育て資金の贈与の非課税制度を使って贈与すれば、結婚に関する金銭は300万円まで、子育てに関する金銭は1,000万円まで贈与税がかかりません。

制度を使えるのは、直系尊属(父母や祖父母など)から50歳未満の直系卑属(子や孫など)へ資金を贈与する場合です。次のような費用に充てるための資金贈与が特例の対象になります。

  • 挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用
  • 家賃、敷金等の新居費用、転居費用
  • 不妊治療・妊婦健診に要する費用や分べん費、産後ケアに要する費用
  • 子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料

5.不動産の贈与で配偶者控除を活用する

居住用の不動産または、居住用の不動産を取得するための資金を配偶者に贈与する際、配偶者控除を適用できれば2,000万円の贈与まで贈与税がかかりません。制度を使うためには、主に以下の条件を満たす必要があります。

  • 婚姻期間が20年以上の夫婦間で行われた贈与である
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与で取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に受贈者が住んでおり、その後も住む見込みである

6.孫に財産を渡して相続税の課税回数を減らす

相続によって親から子、子から孫へと財産が受け継がれる中で、親から孫に財産が渡るまでに相続税が課税される機会が2回あります。しかし、生前贈与によって親世代から孫世代に財産を移転しておけば相続税はかかりません。相続税の課税回数を2回減らせます。

親が子に生前贈与する場合も相続税の課税回数を減らせますが、子への贈与の場合には課税回数が1回減るだけです。子ではなく孫に財産を贈与するほうが長期的に見ると節税になる場合があり、孫への贈与が生前対策として有効な場合があります。

7.不動産を購入して相続税評価額を下げる

一般的に不動産は時価よりも相続税評価額が低いことが多いので、現金や預金で相続せず不動産で相続するように資産を組み替えておけば、相続税の節税になる場合があります。

例えば3,000万円の土地を購入した場合、その土地の相続税評価額が2,000万円であれば相続税の計算で使う土地の価格は2,000万円です。現金や預金で3,000万円を相続すれば3,000万円に対して相続税がかかりますが、この資金で3,000万円の土地を購入しておくと、相続税の計算で含まれる金額を2,000万円に下げることができます。

8.生命保険に加入して非課税額を増やす

生命保険に加入して自分が保険料を負担して、相続が起きたときに相続人である家族が死亡保険金を受け取る場合「500万円×法定相続人の数」で計算した金額まで相続税がかかりません。

例えば、法定相続人が2人であれば1,000万円の死亡保険金まで非課税です。現金や預金で1,000万円を相続すると相続税がかかりますが、生命保険に加入して死亡保険金で受け取るようにすれば相続税がかからずに済みます。

9.墓地や墓石を購入して非課税にする

墓地や墓石、仏壇などは相続税の非課税財産とされているので、仮に遺産の中にこれらの財産が含まれても相続税はかかりません。

例えば現金300万円を相続して墓地・墓石を購入した場合、現金300万円に相続税がかかります。しかし、生前に300万円分の墓地・墓石を購入して相続するなら、相続税はかかりません。相続開始後に購入する可能性がある場合は、生前対策としてあらかじめ購入しておくことを検討してみましょう。

10.養子縁組をして非課税額を増やす

養子縁組をすると法定相続人の数が増えて、相続税を節税できる場合があります。法定相続人の数が増えると、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)や死亡保険金の非課税額(500万円×法定相続人の数)が増えるからです。

相続税の計算で法定相続人の数に含められる養子の数には制限があるので、いくらでも非課税額を増やせるわけではありません。

財産を生前贈与するときの注意点

財産を生前贈与するときの注意点

財産を贈与する方法を間違えると、節税にならず逆に税負担が増える場合があります。相続税の節税対策として生前贈与を行う場合は、以下で紹介する点に注意しながら行うようにしてください。

暦年贈与では定期贈与と見なされないように注意する

毎年110万円以内で財産を贈与する暦年贈与をする場合、仮に複数年に分けて贈与していても、最初からまとめて贈与するつもりだったと税務署から見なされると、一括して課税される場合があります。

各年の贈与が別々の贈与であることが分かるように、年によって贈与額を変えたり贈与する度に贈与契約書を作ったりするなど、対策をしておくことが大切です。

1次相続で節税になっても2次相続で税金が増える場合がある

自分が死んだときの相続に備えて節税対策をしたつもりでも、さらに次の相続(2次相続)でかかる相続税が逆に増えてしまう場合があります。

例えば、自分が死んだときの1次相続で妻と子の2人が相続人になる場合、配偶者が遺産を相続すれば1億6千万円まで相続税がかからないので、子ではなく妻が多くの遺産を相続するほうが節税になると考えがちです。

しかし、その後に妻が亡くなって2次相続が起きて子1人が相続人になる場合、1次相続で妻が相続した遺産が多いと、その分だけ2次相続で妻から子に渡る遺産が多くなります。

2次相続では相続人が子1人しかおらず、基礎控除額3,600万円までしか非課税になりません。むしろ、相続人が2人いて4,200万円まで非課税になる1次相続の時点である程度の遺産を子が相続するほうが、2回の相続でかかる相続税を安く抑えられることがあります。

相続時精算課税制度で相続税は節税できない

相続時精算課税制度とは、生前に財産を贈与しても2,500万円までは贈与税がかからずに済む制度です。しかし、この制度を使って生前贈与した財産は、将来相続が起きたときに相続税の課税対象になります。税金がかかるタイミングを贈与時点から相続時点に先送りするだけで、基本的に相続税は節税できません。

ただし、当制度を使って生前贈与した財産を含めて遺産総額が基礎控除額以下であれば相続税はかからないので、その場合には、2,500万円の贈与まで贈与税が非課税になった分だけ節税になります。

このように、生前対策を考える場合には専門的な知識が必要になるので、税理士などの専門家に相談しながら生前対策を検討することをおすすめします。

まとめ

相続が発生したときに相続税がかかる場合でも、生前対策をしておけば遺産を受け取る家族が払う相続税を減らせる場合があります。生前に贈与すれば相続税の課税対象が減り、財産を生前に組み替えておけば相続税を減らせる場合があるので、将来の相続に備えた生前対策をぜひ検討してみてください。

今回ご紹介したように生前対策には複数の方法があり、どれが最適なのかはケースごとに異なります。どのような方法で生前対策をすべきか、お悩みの方は司法書士法人みどり法務事務所にご相談ください。

当事務所では、皆様になるべくストレス無く相続を済ませていただくために、定額の相続登記代行サービス「スマそう-相続登記-」をはじめとする、相続に関する各種サポートを行っています。まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事を監修したのは、

天満 亮

所属 税理士法人ブライト相続 資格 税理士、行政書士

会計事務所勤務(約8年)、相続専門の税理士法人勤務(約7年)、相続専門の税理士法人設立(2019年~)

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