【不動産の名義変更時の費用・税金】早わかりガイド!
2024.04.01 不動産登記不動産を所有する方が亡くなり、その不動産に相続が発生した場合、相続登記により不動産の名義変更が必要となります。また、家を購入したり、土地の贈与を受けたりした場合にも所有権移転登記により不動産の名義変更が必要となります。
それらの不動産の名義変更にはいくつかの費用が発生しますが、どのような費用がどれくらいかかるか分からない方もいるでしょう。
そこで、本記事では不動産の名義変更にかかる費用を分かりやすく解説していきます。
目次
不動産の名義変更時にかかる費用
不動産の名義変更では、必ず発生する費用として「登録免許税」と「必要書類の取得費用」が、手続きを司法書士に依頼した場合に発生する「司法書士への報酬」があります。
また、場合によっては、不動産を取得した時点で発生する各種税金もあります。
登録免許税
登録免許税とは、登記を申請する際に課税される税金で、登記の申請書に収入印紙を貼ることにより納税します。
そして、登録免許税は次の式で求められます。
不動産の固定資産評価額 × 税率
税率は不動産を取得した原因により異なります。
- 相続の場合 … 0.4%
- 売買の場合 … 2.0%
- 贈与の場合 … 2.0%
- 離婚の財産分与の場合 … 2.0%
例として、相続により取得した固定資産評価額2000万円の不動産の名義変更をする場合、「2000万×0.4%」で登録免許税は8万円になります。ただし、固定資産評価額が100万円以下の土地の相続登記に関しては令和7年3月31日までは免税措置があります。
参照:法務局HP
なお、不動産の固定資産評価額は「課税明細書」または「固定資産税評価証明書」に記載されています。
課税明細書は、固定資産税などが記載された書類で、不動産の登記名義人に対し役所から毎年4月ごろに送付される書類で、固定資産評価証明書は、固定資産税の課税対象となる資産についてその評価額を証明する書類で、取得するには不動産所在地の市町村役場(東京23区内は都税事務所)に請求する必要があり、その際には1通300~400円程度の手数料がかかります。
書類の取得費用
相続や売買など、不動産を取得した原因によって内容は異なりますが、登記の申請の際には、不動産を取得したことを証明するための書類が必要で、中には取得に費用がかかるものがあります。
特に相続登記では、戸籍や住民票など、役所から取得する書類が多くなり、取得費用だけで5000円~1万円程度になることが多いです。
※相続登記で必要になる書類とその取得費用
書類名 | 1通当たりの手数料 | 対象となる登記 |
戸籍謄本 | 450円 | 相続 |
除籍謄本 | 750円 | 相続 |
改製原戸籍 | 750円 | 相続 |
戸籍の附票の写し | 300円 | 相続 |
住民票 | 300~400円 | 相続・売買・贈与等 |
印鑑証明書 | 200~400円 | 相続・売買・贈与等 |
固定資産評価証明書 | 200~400円 | 相続・売買・贈与等 |
相続登記の必要書類についてさらに詳しく知りたい方は、【法務局の[相続登記の必要書類一覧]をかんたん解説!】の記事で解説しておりますので、こちらもぜひご参照下さい。
司法書士への報酬
相続登記や売買・贈与などの所有権移転登記の手続きは、司法書士に依頼することが一般的ですが、その場合は司法書士へ報酬が必要です。
司法書士の報酬は各司法書士が自由に定めることになっており、登記内容などによりある程度前後しますが、相場は7~15万円です。
ただし、この相場はあくまで1件の登記申請に対する報酬です。多くの司法書士事務所では、登記を行う物件の数、当事者の数、遺産分割協議書の作成業務によって報酬は変わってきます。
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各種税金
①相続税
相続した不動産の価格が一定額以上の場合、相続税が発生します。
相続税は、財産を相続したら必ず発生するわけではなく、相続した財産の額が、基礎控除額を超えた場合に発生します。
基礎控除額は次の式で求められます。
基礎控除額=3,000万+600万×法定相続人の数
相続人が配偶者と子供二人であれば、4,800万円までは相続税がかからないということです。
そして、相続財産が基礎控除額を超えた場合は、超えた額に応じた税率かけ、そこから一定の額を控除し、最終的な相続税額が求められます。
税額=(相続税評価額―基礎控除額)×税率―控除額
②贈与税
年間110万円以上の贈与を受けた場合、贈与税が発生します。
相続税対策として不動産の生前贈与を行った場合でも贈与税は発生します。贈与税は最高税率55%という高い税率なので、不動産の生前贈与を行う場合には必ず事前に贈与税の金額を確認しておきましょう。
相続税と贈与税についてさらに詳しく知りたい方は、【相続税・贈与税はどっちが高い?違いを理解して税金を安くしよう!】の記事で解説しておりますので、こちらもぜひご参照下さい。
③不動産取得税
不動産を取得すると原則として不動産取得税が発生します。不動産の名義変更を行ってから半年程度で新しく名義人となった方に不動産取得税の納税通知書が届きます。
そして、不動産取得税は次の式で求められます。
不動産の固定資産評価額 × 税率
税率は取得した不動産により異なります。
- 土地又は住宅 … 3%
- 住宅以外の建物 … 4%
もっとも、相続により不動産を取得した場合には原則として不動産取得税はかかりません。またその他にも軽減措置があります。
不動産取得税についてさらに詳しく知りたい方は、【相続で不動産取得税はかかる?かからない?税金の計算方法を紹介】の記事で解説しておりますので、こちらもぜひご参照下さい。
不動産の名義変更費用を抑える方法
前述の通り、登記の申請には意外と費用がかかりますが、これを節約する方法はあるのでしょうか。
自分で登記手続きをする
登録免許税と必要書類の取得費用は必ず発生するため、削減できるとしたら司法書士への報酬部分だけです。
そのため、不動産の名義変更の手続きを司法書士に依頼せずに自分で行えば、司法書士への報酬分が浮くことになります。
ただ、登記手続きは、必要書類の判断、免税措置を絡めた登録免許税の計算、登記申請書の作成など、慣れていない方にとっては困難な手続きです。
書類や申請内容に不備があると受け付けてもらえないため、何度もやり直し、無断に時間を浪費することもあり得ます。
一部の手続きのみを司法書士に依頼する
そこで、一部の手続きのみを司法書士に依頼するというのも一つの手です。
自身にできそうな手続きを済ませておけば、その分の報酬分が減額してもらえる場合があります。
複数の司法書士事務所で相見積もりする
また、登記費用は司法書士事務所で異なるため、複数の司法書士事務所に相見積もりを依頼するのも良いでしょう。
ただ、何度も司法書士事務所に出向いて直接面談するのは大変なので、近場の事務所やインターネットで問い合わせるのが簡単でしょう。
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不動産を名義変更したあとにかかる費用
不動産を取得した際に係る費用を説明してきましたが、不動産は所有を続ける限り費用が発生います。
固定資産税
不動産などの固定資産を所有している場合に発生する税金です。
固定資産税は、毎年1月1日時点で対象の固定資産を所有している場合に発生し、土地や家などの不動産も固定資産の対象となります。
毎年1月1日までに不動産の名義変更を行った場合には、新たな名義人に対して4月頃に納税通知書が送付されます。
また、都市計画税という税金も、毎年1月1日時点で不動産を所有している場合に発生します。
なお、「小規模住宅の特例」という減税措置があります。
これは、住宅用地であれば、面積200平方メートル以下の部分に対する標準課税が、固定資産税は評価額の6分の1に、都市計画税は同3分の1にそれぞれ軽減されるというものです。
ただし、「特定空き家」というものに指定されると、小規模住宅の特例の対象外となります。
固定資産税についてさらに詳しく知りたい方は、【固定資産税はいくらかかる?一戸建てやマンション、土地の相続で注意すべき点とは?】の記事で詳しく解説しておりますので、こちらもぜひご参照下さい。
管理費用
不動産を所有すると、実際に利用していなくても維持管理のための費用は発生します。
・電気、ガス、水道
たとえ、使用していない不動産であっても、手入れのためには洗浄のための水道や、機器使用のための電源が必要になります。
また、実際に電気、ガス、水道を使用していなくても、契約しているのであれば毎月の基本料金は負担することになります。
・管理委託費用
不動産が遠方にあるなど、自身で維持管理するのが困難な場合、管理会社に委託することも可能ですが、その場合は当然費用がかかります。
まとめ
以上の通り、不動産の名義変更には様々な費用が発生します。
使い道がある不動産であればよいのですが、場合によっては所有するだけで負担になる不動産もあるため、相続放棄、売却、または処分をした方が良いこともあります。
不動産の名義変更についてお悩みの方は、費用や税金などについて一度司法書士に相談される事をおすすめします。
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