【不動産登記の名義変更】かんたんガイド!
2024.02.22 不動産登記家、土地、マンションなどを購入する場合や亡くなった親の土地の相続や生前贈与によって取得する場合、不動産の名義を変更するため法務局で不動産登記を行います。不動産登記は、自分がその不動産の所有者であることを登録するための大切な手続きです。土地や家の所有者になる際は速やかに登記をするようにしましょう。
この記事では、不動産登記で名義変更をするときの手続きの流れや必要書類、費用について紹介します。登記は自分でできるのか、しないとどうなるのか、不動産の名義変更について詳しく解説するので、不動産を購入・相続・生前贈与等で取得予定の方は参考にしてください。
目次
不動産の所有権移転登記とは?名義変更の手続きをしないとどうなる?
不動産に関して権利関係に変更があった場合には、その内容を記録するために登記を行います。土地や家の所有者が変わって名義変更をするときに行う所有権移転登記も、不動産登記のひとつです。まずは所有権移転登記の概要を解説します。
不動産の所有者情報は登記簿で管理されている
土地や家が誰のものなのか、不動産の所有者情報は登記簿で管理されています。登記簿とは法務局が管理している帳簿で、所在地や所有者、住宅ローン等の抵当権の設定状況などが記載されている帳簿です。
登記簿の写しである登記簿謄本は、法務局で所定の手続きをして1通につき480円~600円の費用を負担すれば取得できます。紙媒体のものが登記簿謄本、データ化されたものが登記事項証明書で、その不動産に関して登記から現在に至るまでの情報が記載されているものが全部事項証明書、現在の登記事項のみが記載されているものが現在事項証明書です。
登記簿謄本・登記事項証明書について詳しく知りたい方は、【不動産登記簿謄本はどんなもの?登記事項証明書との違いや取得方法を解説】の記事で詳しく解説しておりますので、こちらもぜひご参照下さい。
不動産の所有者が変わった場合には、登記簿に登録されている所有者情報を変更する必要があるので、新たな所有者に名義変更するために登記をすることになります。
未登記のまま不動産を放置すると問題が起きる可能性がある
2023年3月末までは不動産登記に期限はなかったので、所有者が変わったことによる名義変更をしていなくても罰則を科されることはありませんでした。もっとも、相続が発生した際に行う不動産の相続登記は、2024年4月以降は義務化され、原則として相続があったことを知ってから3年以内に登記をしなければ、10万円以下の過料の対象になります。
相続登記の義務化について詳しく知りたい方は、【法務局の[相続登記の義務化]が分かる!2024年4月以降の罰則や対策をかんたん解説!】の記事で詳しく解説しておりますので、こちらもぜひご参照下さい。
しかし、相続登記の義務化に伴う罰則の問題とは別に、そもそも登記をしないとどうなるのか、名義変更の手続きを怠ったときに起きる問題やデメリットについてはよく理解しておかなければいけません。
未登記のまま放置した場合、主に次のような問題が起きる可能性があります。
・不動産を売却できない
・融資を受ける際に不動産を担保にできない
・他の相続人の債権者によって差し押さえられる
・いつかはしなければならない相続登記の手続きが面倒になる
例えば、名義変更をせず登記簿上の所有者が前の人のままになっている場合、不動産を売りたくても一般的に買い手は売買契約に応じてくれません。他の人が所有者として登記簿に記載されている以上、本当にその人が不動産の所有者なのか分からないからです。金融機関から不動産を担保にして借り入れをする際も、不動産の所有者が他の人になっていれば抵当権を設定できないので、未登記のまま放置していると銀行融資を受けられません。
相続登記に関しては、相続人が2人以上いる場合、不動産を相続する人に名義変更するまでの間は相続人全員の共有状態となるので、他の相続人にお金を貸している債権者が不動産を差し押さえることが可能です。また、相続登記をしないまま次の相続が起きるとさらに権利関係が複雑になり、遺産分割協議や必要書類の準備などで余計な手間がかかることがあります。
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土地や家の名義変更のために登記が必要になるケースとは?
土地や家の名義変更のために登記が必要になる主な登記原因は「売買」「贈与」「相続」「財産分与」の4つです。それぞれ所有者が変わるため、名義変更が必要になります。
売買
土地や家の売買では、所有者が売主から買主に変わるので名義変更の登記を行います。登記簿上の所有者が売主のままだと、売主がさらに他の人に不動産を売ってしまったり、売主の債権者が差し押さえられたりとトラブルになる可能性があるので、売買代金の全額を支払う際に売主から買主への名義変更の登記もあわせて行うことが一般的です。
不動産の売買に伴う登記は、法律上、売主・買主が共同で申請することになりますが、土地や家の売買では不動産会社が仲介するケースが多く、登記の手続きについても不動産会社が中心になって進めてくれます。
生前贈与
土地や家を生前贈与すれば、所有者が贈与者(贈与する人)から受贈者(贈与される人)に変わるので、名義変更の登記を行います。登記簿上の所有者が贈与者のままだと、贈与者が他の人に生前贈与や売却をしたりしてトラブルになる可能性があるので、贈与契約を結んだときに名義変更の登記もあわせて行うことが大切です。
また、親が子に土地や家を贈与するケースでは、未登記で所有者が親のままになっていると、相続が起きたときに親の財産と見なされて相続税の課税対象になる場合や、遺産分割協議の対象になってしまい、他の相続人と不動産相続で揉める場合があります。そのため、名義変更の登記は、贈与時に必ず終えるようにしましょう。
相続
土地や家を相続すれば、所有者が被相続人(亡くなった人)から相続人(相続する人)に変わるので名義変更の登記を行います。
遺産分割や遺言などによって相続人1人が相続する場合はその人が手続きを行い、2人以上の相続人が相続する場合は相続する人全員が共同で申請することになりますが、後者のケースでは共同相続人の中の1人が申請することも可能です。
売買や贈与による登記では元の所有者と新しい所有者が共同で登記申請を行いますが、相続登記では元の所有者は既に亡くなっているため、新たな所有者(相続する人)だけで名義変更の登記を行うことになります。
財産分与
離婚に伴う財産分与で夫名義の土地や家を妻が取得するケースのように、財産分与に関連して名義変更の登記が必要になる場合があります。離婚を巡って相手と揉めている場合、相手が非協力的で登記の必要書類を渡してくれない場合や、そもそも連絡が付かなくなって名義変更の手続きを進められず困る場合があるので注意が必要です。過去に当事務所で離婚による財産分与の登記のご依頼を頂いた際に、元夫と連絡が取れなくなってしまい名義変更が難しくなってしまったケースもありました。
協議離婚の場合は、財産分与をする人と財産分与を受ける人が共同で登記の申請をする必要があるので、離婚協議をする中で登記申請の準備もしておくほうが良いでしょう。調停や審判など裁判上の離婚の場合は、調停調書などに登記手続きに関する条項が盛り込まれていれば財産分与を受ける人が単独で申請できます。
所有権移転登記(名義変更)の手続きの流れと必要書類
不動産の名義変更は、以下の流れで手続きを進めることになります。
・必要書類を揃える
・登記申請書を作成する
・管轄の法務局に登記申請書を提出する
・登記識別情報通知を受け取る
所有権移転登記で必要になる書類はケースによって異なる場合がありますが、基本的な必要書類は以下のとおりです。
| 必要書類 |
売買 | 【売主】 ・登記済権利証(又は登記識別情報通知) ・印鑑証明書 ・固定資産評価証明書 【買主】 ・住民票 【その他】 ・売買契約書 |
生前贈与 | 【贈与者】 ・登記済権利証(又は登記識別情報通知) ・印鑑証明書 ・固定資産評価証明書 【受贈者】 ・住民票 【その他】 ・贈与契約書 |
相続 | 【遺言に基づいて相続する場合】 ・固定資産評価証明書 ・遺言書 ・被相続人の死亡時の戸籍謄本、住民票の除票 ・不動産を相続する人の戸籍謄本、住民票 【遺産分割協議に基づいて相続する場合】 ・固定資産評価証明書 ・遺産分割協議書 ・被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、住民票の除票 ・すべての相続人の戸籍謄本、印鑑証明書 ・不動産を相続する相続人の住民票 【法定相続分で相続する場合】 ・固定資産評価証明書 ・被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、住民票の除票 ・すべての相続人の戸籍謄本、住民票 |
財産分与 | 【旧名義人】 ・登記済権利証 ・印鑑証明書 ・固定資産評価証明書 【新名義人】 ・住民票 【その他】 ・離婚協議書、財産分与契約書 ・戸籍謄本 |
上記の必要書類が揃ったら登記内容に応じた登記申請書を作成します。登記申請書に決まった様式はありませんが、法務局のサイトに用紙のひな型や記入例が掲載されています。
法務局|不動産登記の申請書様式について
登記申請書を作成したら、必要書類とともに管轄の法務局に提出します。登記の手続きが完了して、登記識別情報通知を後日受け取れば、名義変更の手続きが完了です。
相続登記の必要書類についてさらに詳しく知りたい方は、【法務局の[相続登記の必要書類一覧]をかんたん解説!】の記事で詳しく解説しておりますので、こちらもぜひご参照下さい。
所有権移転登記(名義変更)にかかる期間と費用
不動産の名義変更にはある程度の日数と費用がかかります。スケジュールに余裕をもって手続きを進めるとともに、費用の支払いに充てるお金を準備しておく必要があります。
書類を揃えて申請すると1~2週間ほどで登記が完了する
書類を提出してから登記が完了するまでに要する期間は、一般的に1~2週間程度です。ただし、法務局が混んでいると時間がかかる場合があります。
必要書類をすべて揃えるまでに1~2週間かかった場合、あわせて3~4週間ほどかかることになります。登記は申請してもすぐに完了するわけではないので、名義変更をいつまでに終わらせたいという期限がある場合には、早めに申請するようにしましょう。
登記では書類の取得費用や登録免許税がかかる
売買・贈与・相続・財産分与に伴って名義変更をする際、必要になる書類については既に紹介しましたが、必要書類のうち主なものの取得費用は以下のとおりです。
・固定資産評価証明書:1通200~400円程度(自治体による)
・戸籍謄本:1通450円
・被相続人の改製原戸籍謄本:1通750円
・住民票:1通300~400円程度(自治体による)
・印鑑証明書:1通200~400円程度(自治体による)
・登記簿謄本:1通600円(申請方法による)
また、登記では登録免許税という税金がかかります。
税額は不動産の固定資産評価額に下記税率をかけて算出された金額です。
売買・贈与・財産分与なら税率は2%
(土地の売買の所有権移転登記については特例措置によりR8.3.31迄は1.5%)
(例) 固定資産評価額3,000万円×税率2%=登録免許税60万円
相続なら税率は0.4%
(例) 固定資産評価額3,000万円×税率0.4%=登録免許税12万円
不動産の名義変更は自分でできる?司法書士に依頼すべき?
不動産の名義変更は自分でもできるのか、或いは司法書士報酬を払ってでも司法書士に依頼すべきなのか、判断に迷う人もいるはずです。以下では登記を自分でやる場合と専門家に任せる場合、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
自分でやるメリット・デメリット
不動産の名義変更を自分でやれば、何よりも司法書士に払う報酬がかからずに済む点が一番のメリットです。調べものや書類作成に慣れていて自分で手続きができる人なら、わざわざ司法書士に報酬を払う必要はありませんし、場合によっては自分で手続きをしたほうが早くなる可能性もあります。
ただし、登記の必要書類を自分で取りに行く手間や、郵送で取り寄せる手間、そして何よりも法務局に提出する登記申請書などの専門的な書類を自分で調べながら作成しなければならない点が一番のデメリットです。役所に取りに行く場合には、役所が開いている平日の日中に行かなければならず、平日が仕事の人は仕事を休まなければいけません。また、調べものや書類作成に慣れていない人の場合、自分でやろうとするとミスをして余計な手間や時間がかかり、負担が増える場合があります。また、現状では売買や離婚による財産分与などの登記については、当事者の公平性と登記の確実性の観点から、登記申請は司法書士に依頼することがほとんどです。
専門家に任せるメリット・デメリット
司法書士に依頼する場合、やはり報酬がかかる点にデメリットを感じてしまうかもしれませんが、役所の手続きをすべて代行してもらえるので自分でやる手間はかからず、手続きをスムーズに終えられる点がメリットです。登記に慣れておらず自分でやる自信がなければ、最初から司法書士に任せるほうが良いでしょう。
多くの司法書士事務所では、登記する物件の数や収集した戸籍謄本通数等によって報酬が高くなりますが、相場としては登記1件あたり7~15万円ほどかかります。
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まとめ
売買や生前贈与、相続、財産分与によって不動産の所有者が変わる場合、登記簿上の名義が自動的に書き換わるわけではないので、名義変更の手続きである登記を行う必要があります。
法務局に申請してから登記完了までにかかる期間は、一般的に1~2週間程度です。自分で必要書類を揃えたり申請書を法務局に提出したりするのが面倒な場合は、司法書士に依頼して名義変更の手続きをすべて任せてしまっても良いでしょう。専門家に頼むと費用はかかりますが、自分でやる手間がかからずに済んでミスなくスムーズに登記を終えられます。
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